短編小説
□放課後
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「なぁ跡部」
「……」
「跡部ー」
「……」
「景吾ー」
「……」
「景ちゃーん」
「……っ」
手元でぷちりとシャーペンの芯が折れた。
こいつは俺の正面に座り、邪魔をするように意味もなく何度も名前を呼んでくる。
現に邪魔をしてるわけだが…。
コイツには、俺がやってることが見えないんだろうか。
静かな図書室に、忍足の声だけが響いている。
外からは部活が始まり、テニスボールの音が微かに聞こえてきた。
「景ちゃん遊ぼうや〜」
「書類に落書きすんな!暇なら部活へ行け!!」
動物のようなものを描いてくる忍足の手を叩き、イライラと書類に印を押す。
横を見ると、まだ見終わっていない書類の山。
溜めに溜めた結果がこれだ。