短編集 (赤×橙)
□片われの心配事
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side 青
「海斗ー、時間ー」
「もう着替え?おっけおっけ」
今日は松松の雑誌撮影、
170cm以下のファッションコーデ、みたいな企画をやるらしい。俺だって、あと1cmでも高かったら170あるのに!
まあ海斗とオシャレな服きて並んで写真とるの楽しいしいっか。身長が近いほうが、やっぱ並んだとき見栄えいいもんな。
俺たちは機材がセットされてる現場の隅っこで着替えるんだけど、その時、下着姿になって座ってる海斗が撮影用のパンツをはこうと足を上げた瞬間、脚の付け根あたりに虫刺されみたいな、赤い跡が複数あるのを見つけた。
「海斗、変なとこ虫に刺されてるじゃん。あせも?かゆい?」
「えっどこ」
「そこ、脚の付け根らへん。裏」
「えっ、あ、、!!」
そう言うと海斗は履きかけのズボンを一瞬でたくしあげて跡を隠した。
なんか、顔赤い?
「だ、だなー!そいやかゆいと思ってた。はは、かい〜」
わざとらしく脚掻いてるけど、、、場所ズレてるよ。
挙動不審だし。
ええ?これはまさか。
「、、キスマーク?」
「!」
なんでこいつこんなわかりやすいの。
いよいよ顔を真っ赤にして目を見開いてる。
「ばかじゃねーの、なわけないじゃん!いこうぜもう」
そう言って海斗はさっさとセットの場所のあるまで小走りしてったけど。
いや、靴履くの忘れてるよ。。まさかと思ったけど、その反応は確定じゃん。
俺は靴を持ってセットについていきながら、これを聞けるのはひとりしかいないと思い立った。