短編集 (赤×橙)
□安心感
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side 橙
最近ちゃかと会えていない。
ドラマの出演が決まって、撮影場所がだいぶ遠いので泊まりがけでロケに行くらしい。
ちゃか不在の間も定期的に動画は更新しないといけないので、のえるが進行役になってまとめてくれる。そっちは問題ないんだけど・・。
寂しい!!
顔を見れないだけでこんなに寂しくなるとは知らなかった。
撮影は朝早くから始まるらしく、夜の電話もなかなかできない。
俺は寂しくって、でもこんなんじゃちゃかを支えられないぞと自分を鼓舞して、こんなときこそ!とダンスの練習に一層励む。
寂しさを振り払うように夜遅くまで練習する俺を心配して、メンバーが声かけてくれる。
「おーい、あいついない間にお前倒れたりしたら、俺が殺されるんだからねー」
と海人に声をかけられたのも、聞こえたけど聞こえないフリした。
俺がもっとダンスうまかったら、ちゃかの横に並んで踊っても見劣りしないくらいになったら、もっと対等に付き合えるかな。
いまはどうしても、プライベートでも仕事でも、俺のほうがフォローされたり助けられたりしてる。
俺だって、ほんとは男らしく引っ張りたい!
遅くまで練習していたので、電話に2件の着信があったことに気づかなかった。
あとから見るとちゃかで、かけ直そうか迷ったけど、時間経ってしまったからもう寝てるかもしれない。
起こしちゃ悪いからLINEだけ入れた。
「電話出れなくてごめん、おやすみ!」
俺はスマホをおくと、やっぱもうちょっとやるかと、結局日がとっぷり暮れるまでスタジオで練習していた。