短編集 (赤×橙)

□片われの心配事
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俺たちはそのカフェでなんかイケてないパスタとイケてないアイスコーヒーを飲んで、海人は「そんなことで呼び出すなよなー」と言って、帰ってしまった。

え、そんなことなの!?
2つ上なだけなのに、そんな理解早くてあっさりしてるなんて、おまえ大人だな・・。


次の日も雑誌の撮影だった。今日はメンバー全員だが、ショットは3組に別れてる。松松はやっぱりセットだ。

「元太〜。今日撮る特集のテーマってなんだっけ?」
「香水だからセクシー系だって説明受けたじゃん」
「あ、おっけ〜」

海斗はテーマを聞いて表情を仕込み始める。海斗は顔立ち自体は可愛い形なんだけど、表情を見せるのがすごく上手い。いったんカメラを向ければ、たまに見慣れた俺でもドキっとするような顔してくる。

今日はアンニュイ&セクシーな雰囲気の写真が欲しいらしく、いつもより密着度が高くてポージングもなかなか際どい。

俺が海斗をバックハグして、シャツの下から手を入れてるとか。

もちろんそれは慣れてるから全然恥ずかしくないんだけど、シャッター音を聞きながらつい、昨日のキスマークをつい思い出してしまった。

成長期が遅くて、つい最近まであどけなさの抜けなかった海斗。ずっと可愛らしい感じだったから、性的なことしてるイメージを持ったことのなかった俺は、どうやら多少なりともショックを受けてるみたい。

とくに今、ふわっと香る甘い香水の香りとか、あるいは密着してる白くてきめの細かい肌とかに、なんだかドキドキソワソワしてくる。

こいつこんなに色気あったっけ、、。
ちゃかとするとき、どんな顔するんだろ、、?

なんて、変なこと考えちゃった。

そのとき目線を感じた。
撮影を見学してる海人が俺に合図をおくってる。え、なんか口パクで言ってる。

し、ぬ、よ?

うみが指差す方向を見ると、いた、ちゃかだ。

セットが明るすぎて気づかなかったけど、ちゃかがものすっげー怖い目で俺のこと見てる。俺のこと呪ってんの?ってくらい。
焦って海人に目を戻すと、俺を指差し、そのあと自分の顔をトントンする。

顔に考えてることでてるってこと?
まじで?それはやばい。

俺は焦って、心の中の邪なイメージを払う。

もしかして俺って、いま危険な領域に足を踏み込み始めているのでは、、?

考えたくもない思考にぶるっと身震いして、とりあえず怖いので、ちゃかにだけはしばらく近づかないようにしようと決めるのだった。


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