黄昏時忍軍忍組頭の嫁は少し無愛想

□忍組頭は絶賛嫁募集中
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 さて、どうしたものか。とさくは道を歩きながら思案している。

 向かう先は城の忍軍詰め所。乳母のゆのによる見立てで着せられた着物は白地に藤。彼女の白い肌に良く似合っていた。

 死に装束となるか、花嫁衣装となるか、皮肉なことを思いながら、豪奢な織りの入った裾を見下ろす。

 さて、

 歩きながら考えるのは今後の事。ここはやはり任務時に使う笑顔と普段の数十倍に引き上げた愛想で臨むべきであろうか。

 かといって選ばれるとは決まったわけでもなし。

ましてやよもや、有り難くも選ばれた場合。あの結崎の家は掌を返したように私を誉めそやすに違いない。

 ゆのだけは素直に喜びそうではあるが、

 そういった展開を想像するとげんなりするあまりさくは思いっきり顔をしかめた。

 ならば、取り繕わずいくか。


 結局。しかめた顔を特に直す事もせず、無愛想な、しかし極めて彼女の素に近い状態で臨むことに決めた。

 さくは、この奥方選びに対し、露ほどの向上心も持ち合わせていないのであった。

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