理不尽に爛漫に/道理に叶って絢爛で

□友達ってのは良いもんだ。
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 突然ですが、悲報です。








 友達ができません。








 どうも、五年ろ組の編入生(色々と事情持ち)の藤山葵です。

 編入早々、三郎とのロミオとジュリエット的カップルな噂が発生し、噂を沈静化する為に、三郎とは極力喋らず、かつ私も目立たないように沈黙して、編入から五日程経過した現在。



 見事に誰も絡んでこないんだなこれが。



 恐らく、学園長先生からの「色の一切を禁ずる」という恋愛禁止令というかこいつに手ぇ出したらどうなるか分かってんだろうな的プレッシャーが多大なる抑止力になってるんだろうけど……。

 でもちょっとくらい、こう、打ち解けてくれたって良いんじゃないでしょうか……。

 特に上級生諸君のよそよそしさ、パねえよ。

 凄い観察されてる感はある。
 しかしそうされるとこっちとしても声が掛けづらいメンタル弱い葵ちゃんです、はい。

 そもそも、私って友達作りが下手というか、基本的に受け身というか、いつメンウェーイ的なノリが苦手というか、そもそも、友達ってなんだ?

 ある日の午後、一人で木陰に座り込み、そんな事を悶々と考えている。



 私はただ、こう穏やかに、時にエキサイティングな日常を過ごしたい、それだけなんだけど……







 で、また、観察されてるな。

 伏せた目を上げればがっつりと目が合ってしまった。







 うどんみたいな独特の髪。丸い目。

 ……「78回目」では非常にお世話になった人だ。近くで見るのは随分と久しぶりになる。

 優しくて、力持ちで、ちょっと(?)スパルタな奴だった。


 その、五年い組の学級委員長、尾浜勘右衛門君は目を逸らさない。ジーッとこっちを見ている。



 お?と思っていたら、ニコッと人懐っこい笑みが返ってきた。


 え?


 ちょっ、近づいてくる!?

 ま、まてまてまて、確かに誰でも良いから絡んでこんかいゴルアくらいは思っていたけど、ちょっと心の準備が……!!









「やあ、三郎の恋人さん」

「違うから」

 にこやかな彼に対しての私のファースト表情は死んだ魚の目をした無表情だった。


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