理不尽に爛漫に/道理に叶って絢爛で
□今年もやって来るあれ
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※…これは番外編です。現行までの本編の雰囲気と全く合致致しませんが、別物としてお楽しみ頂ければ幸いです。
「諸君、今年もあの日がやって来たぞ……。」
私は、忍術学園五年ろ組の編入生、藤山葵。
トリップしてたり男装してたり最後の砦だったり戦ってたりもする極々普通の女子だ。
「何処が普通だ」
「私の心を読むなよ三郎」
「いや、なんかぶつくさ口に出してたぞ」
「マジか」
「……」
呆れた様な、小馬鹿にした様な半目で私を見ているのは、私と同じく五年ろ組にして私のお世話係の鉢屋三郎である。
「仕方なく、な」
「三郎はツンデレなのである」
「意味が分からんが全力で否定したくなるのは何故なんだ……」
「ていうか、俺達って今から学園を奪還するんじゃないの?なんで藤山の部屋で集合状態なんだ?」
「おお、尾浜君。説明ありがとう」
そう、ここは五年長屋の私の部屋。私を含む五年生の面々が輪になって座っている。
い組の尾浜勘右衛門君は解せぬと言いたげに首を傾げている。
「俺と勘ちゃんは敵の装束に着替えて潜入した所だし」
と、長い睫毛を瞬かせる同じくい組の久々知兵助君。
「狼達と陽動作戦に出るっていう俺の見せ場はどうなったんだ?」
ろ組の竹谷八左ヱ門、通称ハチは、困った様に眉を下げている。
「僕はどうしようか迷ってたら七松先輩に連行されたしね……」
「お、おお。マジか、御愁傷様」
がっくりと肩を落とすのは、ろ組、不破雷蔵君。
三郎と同じ顔だが、オリジナルである彼の方が優し気な印象だ。性格は顔に出る。
「よし。これで全員紹介できた」
「葵はさっきから何の話をしてるの?」
「学園長先生が未だ囚われの身だというのに、このやたらとのんびりした雰囲気はどういうことなんだ?」
「聞こえるか、葵よ……」
「はっ!爺ちゃん!?」
「今……おぬしの心に…直接……語りかけておる…………わしを…早く……救い出すのじゃ……!」
「じっ、爺ちゃん!!すまん、今はこれ番外編なんだ!!!」
「いや、葵。これ、三郎の声真似だから……番外編?」
不破君が三郎を軽く叩きながらキョトンとする。
「はい。本編で流れる時間軸、世界線とは全く異なる空間です。逢坂さくらの問題を解決したその後の世界を仮定したもの、と捉えて下されば宜しいかと思います」
「なんだ、この声!?」
五年の皆が、天井や壁をきょろきょろと見渡す。
「スーツ女氏説明あざっす!という訳で次ページからはクリスマス特別番外編です!本編これまでのマジシリアスな雰囲気など知ったこっちゃねえなハートフル(?)ギャグでございます!!ふざけんなよボケがって方はすみません!!本編はちゃんとまだ続きます!!!」
「「「もう訳が分からないよ……」」」
「こんなの絶対おかしいよってか。読んでやろうじゃねえかって方は次ページへどうぞ!!!」
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