理不尽に爛漫に/道理に叶って絢爛で
□新しい朝が来た
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「ちょっと待って、ちょっと待って!」
おにいさーん!!
いや、お爺さん!!
……ってまあ、このネタもどうせ通じないんだろうな。
「ふむ、ではあちらで待つかの」
ほら、斜め上の反応来たよ。
というか黒忍者達と少年達が一斉にずっこけたのにびびった。なんだあんたら、吉本新喜劇出れるんじゃないか。
「いや、そうではなく。その設定は無理が有りすぎじゃないですか!?」
私、女!18歳!!男、違う!無理!
突っ込み所が多過ぎて思わずカタコトになってしまいますよ。
「そうかのお……?おぬしの体格的には不自然は無いかと思うが、」
おい、その発言セクハラじゃねえの?暗に貧相って言ってんのかこのジジィ。確かに病気のせいで第二次性長は遅れまくってるが仮にも花の18歳の乙女に男として過ごせとか、
「あ、爺さんの趣味か」
「違うわい」
特殊な趣味なら仕方ないと納得しようとしたら光の速さで否定された。
部屋の人達がまたずっこける。
良く訓練されてるね、あんたら。
爺さん達が言うには、くのいち教室の生徒達も直接的な攻撃行動は起こせないのだが、逢坂の影響を全く受けないので忍たま達に比べても敵意を示しやすいそうだ。
ただ、逢坂もそれを察してかくのいち教室の女子達を避けているそうだ。
「向こうに接触を拒否されては対処も滞る。警戒されない為に、おぬしには男と偽って欲しいのじゃ」
成る程。なんとなく把握したが、それでもここは忍者の学校。素人の演技なんてすぐバレそうだが。
「さて、鉢屋三郎、藤山君は五年ろ組に編入させる。おぬしが主となり尾浜勘右衛門と共に藤山君の保護と補助に当たるのじゃ。学級委員長委員会として、学園生活に慣れぬわしの遠縁の子の手助けというのが表向きの理由かの」
「はい」
「……承知致しました」
成る程、サポートがいるならなんとかなるかもしれない。鉢屋三郎が一瞬めちゃくちゃ嫌そうな顔をしたのが気にはなるが。
「そうと決まれば、さっそく着替えてもらって、先生方は生徒に収集をかけてくれ、全校集会じゃ」
「御意」
黒忍者達が一斉にログアウトしました。さっきまでめっちゃコメディタッチだったのに忍者すげえな。
でも爺さん、今って夜中じゃない?皆寝てるでしょう、私ならそんな呼び出しキレるぞ。
「今日からおぬしは仮とは言え、わしの親族じゃ。これより葵と呼ばせて貰うぞ。わしのことは、お爺様と呼んで貰おうかの」
にこにこと笑う爺さん。
「よろしくお願い致しします……爺ちゃん」
「ふむ。ま、それでも良かろう」
学園長の爺ちゃんは残念そうに顎を擦った。
やっぱり男装ってこの人の趣味じゃないの?
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