理不尽に爛漫に/道理に叶って絢爛で
□展開が怒濤過ぎる
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今の私の心境を一言で表すならこうだ。
もぅマヂムリ。
死んだと思ったら謎のスーツ女に世界を救えとか言われて蘇ったら何処か知らん神社にいて訳が分からなすぎて泣いてたらいきなり謎の少年とエンカウントしましたイマココ。
中学生か、高校生くらいに見える男の子は細面の顔で私を見下ろしている。
ボリュームのあるポニーテールで、作務衣?みたいな変な着物を着てる……。
ってかどっかで見たことあるぞこいつ。
「あんた名前は?」
「ぶぇ?」
鼻をすするとめっちゃ不快そうに顔をしかめる少年。
「だから、名前は?」
「……藤山、葵れす」
鼻声で答える。
知らない人にってか怪しい少年に名前を教えちゃいけないよ!「烏賊のお寿司一人前」でしょうが!と脳内でセルフつっこみが入った。
「いっ!?」
少年にいきなり腕を掴まれました。
ガクンと姿勢が崩れるくらいの勢いにぎょっとする。
それから少年はじっとまた何かを確認するような間を置いて、
「いっしょに来て貰うぞ」
と私を肩に抱え上げました。
「おわわわわ!?」
「煩い黙れ。暴れるな」
ちょっ、理不尽。
見た目より少年はマッチョマンなのかガッチリホールドされて動けない。
息が詰まって咳こんだらまた「煩い」と冷たい声で言われた。だから、理不尽だって。
「おい、三郎。仮にもその子女の子なんだからもう少し扱いは丁寧に」
いつの間にか少年その2がエンカウント。
丸っこい目をした少年その2は私を米俵の様に抱える少年その1と同じ格好をしている。
「ふん、男だとばかり思ってたのに、こんな牛蒡みたいな女となは。おい、お前。本当に学園長先生が言ってる奴なのか?」
「……ちょっと何言ってんのか分かんないです」
「まあ、とりあえず連れていって確かめるしかないよ」
おい、少年達よ。
私の渾身のサンドイッチマンの物真似は無視ですか。
「仕方ない。おい、舌噛みたくなかったら喋んなよ歯ぁ食い縛っとけ」
「うん?」
その瞬間、がくんと揺れる視界。
「んんんんん!?」
言われた通りに食い縛った歯から声が漏れる。
なんか凄いスピードで走ってるぞ少年その1!!並走する少年その2も超速い。なんなの、君達は加速機でも着いてんの!?
何処に連れてかれるんだ私は!?
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