*それぞれの艶物語*
□沖田総司「十六夜の月」
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<艶が〜る、二次小説>
新居での初めての夜を迎え、今までの想いを告げようとする二人。
※第17話の続きです。
【十六夜の月】第18話
「貴女を…抱きたい…」
「え、」
「私に身を預けて頂けますか?」
(身を預けるということは、沖田さんと結ばれるということ…)
一瞬の間をおいて小さく頷くと、それが合図かのようにゆっくりと近づく端整な唇を受け止めた。
「…んっ…」
そのすぐにも溺れてしまいそうな程の口付けに、肩を竦めていると…
「…震えている」
「あっ…」
「嫌、でしたか?」
私を慈しむような瞳と目が合う。
その瞳を見つめながら何も言えないでいると、温かい指先が私の頬を包み込んだ。
「急ぎません。ですから今夜は…」
「いえ…」
口付けだけでとろけそうになってしまったことが恥ずかしかっただけ…。
「春香…さん」
「私も…」
戸惑いの色を浮かべる沖田さんの襟元に触れながら、想いの全てを告げた。
(この身を…全て沖田さんに預けたい…)
「春香…」
私を見下ろす真剣な瞳と目が合った次の瞬間、激しく奪われる唇。
どこにこんな男らしい部分があったのだろうと、思ってしまうほどの抱擁に戸惑いながらも、身の奥に微かな痺れを感じ、二人を温めている掛け布団がずれ落ちそうになる程にお互いを抱きしめ合う。
「無性に…貴女を抱きしめたかった…」
「総司…さ……」
十六夜の月に心を惑わされてから、一度は別れを覚悟した。
でも、会えない日々でさえ無駄では無かったと思えるくらい今が幸せ過ぎて…。
いつ、沖田さんの命が尽きることになったとしても、これから先、どんな困難に見舞われたとしても、私は強く生きて行く。
───沖田さんの隣で。
「…んっ…ふ…」
呼吸を忘れてしまいそうになるほどの切ない口付け。
やがて、その唇が私の頬を滑り耳元へと流れ、逸らして露わになった首筋へ落ちた。
とうとう横にずれ落ちてしまった掛布団をそのままに、今度はひんやりとした指先を素肌に受け止め、その手が乳房を掠めながら襟元を左右に落としていく…。
「あっ……」
首筋から鎖骨。
次いで、肩が露わになり、啄むような口づけを胸の谷間に受け止めると同時に、露わになったふくらみを優しく包み込まれる。
「あっ…ン…」
円を描くような手の動きと、微かに漏れ始める低く抑えたような吐息に、ぞくぞくと体を震わせる中。胸元から首筋まで這うように上がって来た沖田さんの熱の籠った息遣いが、私の耳を擽った。
「そんな顔をされたら、歯止めが利かなくなる…」
(…っ…)
少し困った様に微笑う眼が私を愛でるように見つめ、額に口付けられ、続いたきつく優しい抱擁に息を呑んだ。
想像していたよりも強引な抱擁に息つく暇もなく。ただ、その想いを受け止めようと必死に沖田さんのうなじにしがみ付けば…
「…っ……」
乳房に添えられていた指先が、裾の中へと入り込み太腿を手繰り上げる。
「あ…あっ…」
浴衣の下。
更に熱を帯びたままの指の腹が、優しく、時に強く円を描くように動き。
気が付けばもう既に、その指を受け入れていた。
「んっ…あっ…」
首筋に唇の熱く柔らかい感触を受け、下腹部に強い痺れを受けて身をよじると、今度は噛みつくような口付けを落とされた。
重ねられた唇から零れる吐息。
急速に火照り出す身。
「んんっ…ふっ…」
次第に、首筋を擽っていた唇が首筋から胸元へと滑り、熱い舌が蕾に絡められ…その巧みな動きに、身の奥の痺れが大きくなっていくのを感じると同時に、自分の声を遠くに聞く。
刀を扱う、その細くてしなやかな指が、絶え間なく蜜を絡めながら繊細になぞり上げる度に、全身に強い痺れを受けた。
───今、大好きな人に愛されている。
そんな想いが羞恥心に拍車をかけるが、
「んっ…」
何度目かの波を堪えた、その直後。
太い指を身の奥に受け入れた。
「ああっ…っ…ん」
その圧迫感に目を見開きながら、まるで押されるように身を引いてみるも、肩に添えられていた大きな手に引き戻される。
「…んっ、いや…」
(恥ずかしい…)
そう思いながらも、想いを寄せたあの日から、どこかでこうなることを望んでいた…。
───沖田さんの腕の中で抱きしめられたいと。
その想いを見透かされているような視線を受け、恥ずかしくて逸らした首筋に強い口付けを落とされる。
そんな間にも、中をゆっくりかき混ぜられる度に、徐々に疼き出す奥の感覚に息を乱す私を、沖田さんは愛でるように見つめるだけ…。
「ああっ…」
溢れる蜜に絡ませた長い指が動く度に、卑猥な音を耳にして。それを奏でる自らの体がよりいっそう熱を求めるごとに、私は心をかき乱された。
「…もう、私…」
「もう少し、可愛い貴女を見ていたい」
「…っ…」
ふと肩から沖田さんの手が離れ、その手に背を軽々と持ち上げられるなり、すっかり肌蹴た浴衣に唯一留まっていた帯を、くるりと前へ回された。
しゅっ、という音と共に、帯は解かれ。
次いで、腰紐も解かれて、守りの無くなってしまった浴衣は私の肌から左右に落とされていく。
「…やっ…」
行燈の灯り一つの薄暗い部屋とはいえ、沖田さんの前に裸体を晒していることが羞恥心を覚えた。
「恥ずかしい…」
「何故」
妖艶な瞳から目が離せなくなって、私はまた視線を逸らした。同時に、私の内に添えられていた沖田さんの指先が再び奥を押し上げ、
「あっ…ん…」
優しく突かれ、抑えきれない声が否応なしに喉を零れてゆく。
「綺麗だ…」
そう囁き、沖田さんは私の頬へ口づけながら、目を細めた。
私が羞恥の色を浮かべても、「可愛い」と、返されるだけ…。
また違う痺れに身の奥を抱えて、乱れゆく自分を抑えきれずただこの身を預けていると、休む間もなく抜かれた指の代わりに当てられたその圧迫感に、思わず目を瞑った。
「…ん…」
「優しく…します」
「…………」
そっと目蓋を開け、乱れて大きく開かれた沖田さんの襟元を掴みながら小さく頷くと、沖田さんはまた優しい口付けをくれた。
そのとろけるような唇を受け止めて間もなく、ゆっくりと沖田さん自身を受け入れる。
「ン…っ…んんー…」
喉からはまた声にならない声が漏れ出て、律動を始める沖田さんに圧されて。この身の奥を、何度も擦られ圧されてゆく感じに震えていると、
沖田さんは、律動を繰り返しながらも、自ら帯を解き浴衣を脱ぎ去り背に羽織り直した。
「…あ…ンっ…」
目に飛び込んで来た、想像以上の逞しい体つきに、思わず目を逸らすものの、沖田さんは構わず私の上に覆い被さって来て、また首筋に口付けを落とし…
「ああっ…あ…」
その唇が触れる場所から奔る熱に、体の芯を駈けるような痺れを覚えて、乱れた息を吐いた。
「あっ…ぁ……ンっ…」
幾度も腰を押しやられ、頭上へとずれ動いてしまう体が引き戻され、気が付けば両手首を左右で押さえつけられていて。
今までに感じたことのない感覚に、頭の奥が翳み始める。
「もう……っ…」
握りこんで手の平に強く爪を立てていると、手首を抑えつけていた沖田さんの手が、握りこまれた私の拳に割り入り、指を絡めるようにして手の平に合わされば…
お互いの指が絡み合い、それでも堪えきれずに沖田さんの手に爪を立ててしまう…。
自分の手も、沖田さんの手にもそうしてしまっていることに気づけないほど、立て続けの圧巻に呑みこまれて、この身は酷く疼いていた。
私の目前、苦しげに抑えるような低い声を耳にすれば余計に。
やがて急速に、奥から鈍い痺れが大きくなっていくのを感じた。
「…くっ…」
荒く吐きだされた苦しげな息が耳元を掠め、甘い余韻の中でひとしきり温もりを分け合い。
限界が近いことを言葉で伝え合うわけでもなく、身と身で感じ合う。
「ん…ああっ…あ…」
そのまま、体ごと奥を激しく揺さぶられ。鋭い痺れに襲われると同時に、より強く腰を押しやられ…私は背を逸らして深く息を零した。
次いで、何かを堪えるような悲痛な色を浮かべる沖田さんを見つめながら、解放された手を沖田さんのうなじに添えて引き寄せる。
「総司…さん」
「…春香」
そして、何度か苦しげな吐息を零した後、沖田さんは微かに体を震わせ、私に優しい口付けを落とした。
繋がったまま、息を弾ませながらお互いの温もりを感じ合い。
これが現実であることを確かめ合う。
やがて、離れゆく温もりを惜しみつつ、私は開かれた浴衣を手繰り寄せ。沖田さんは背中に羽織ったままの浴衣に袖をとおし、行燈の火を吹き消して再び布団に戻ると、私達は一つの布団に横になった。
「もう、言うまでもありませんが…」
「え…」
「貴女に出会えて良かった」
「……っ…」
「そして、貴女を諦めなくて良かった」
すぐ傍にある大好きな温もりを、また確認するかのように手を伸ばし合う。
「私の命が、あとどのくらい残されているのか分かりませんが…」
───死が二人を別つまで。
共に生きようと、言って沖田さんはいつものように微笑った。
私はただ、無言で頷いて。
誘われるまま、温かい胸に顔を埋め…
深い眠りに誘われるまで、その優しい温もりに包まれていた。
【第19話へ続く】
〜あとがき〜
きゃああああとうとう、沖田さんとの初夜を書いてしもた。
もう、艶がの沖田さんのイメージが壊れてしもたらすみませんもう、半分以上はわたすの理想の沖田総司なので、違和感を持たれた方もいるかもしれまへん。
今までは、どうしても…主人公を気遣って控え目なイメージが強かったのですけど、どうせ書くのなら、彼の男の部分も描きたくて。
せやけど、初夜とは思えぬ大胆な沖田総司を描いてしまったような気がします。
が、しかし、一度触れたら止められなくなった。そんな衝動もあるだろうな…なんて、勝手に思ってこういう感じにしてみたんですが…。
うーん。どうだっただろう。
今回も遊びに来て下さってありがとうございました!