*それぞれの艶物語*

□徳川慶喜 #1-3
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ある日の夕暮れ…。

台所で夕飯の洗い物を片付け終わって、一息ついた時だった。白いワイシャツに紺色のネクタイをし、黒い細身のデニムを纏った彼が、背後から近づいてきた。

「……○○」

甘い声で囁かれ、一瞬ドキリと心臓が跳ねる。

彼は、背中ごしに私の身体を抱きしめると、片手でエプロンの紐をゆっくりと解きながら耳元で囁く。

「今すぐお前を抱きしめたいんだけど…いいかい?」
「……ダメです…」

「ということは……肯定とみていいね」


彼はそう言いながらエプロンを脱がせると、私の身体をそっと抱き上げリビングの方へ歩き出した。

「え…ちょっ……」


私は、咄嗟のことに少し驚きながら彼の首に手を回す。


そして彼は、ソファーの上に私の身体を横たえると、上からそっと覆いかぶさってきた。



「今夜のお前も綺麗だね…」
「……っ…」

彼のしなやかな手が私の頬に触れ、耳元で囁かれる度に身体中が熱くなっていく…。

「キス攻めにしてもいい?」
「……け、慶喜さ…ん…」
「今夜は、いつもと違うお前が見たいから…いいよね?」



その甘く切ない声を聞き、私は答える代わりに彼の背中をギュッと抱きしめる…。



(…そうして貰いたいけど…恥ずかしくて言えない……)


「○○は……」

「…えっ……」

「俺のキスが欲しい?」


そう優しく囁かれ、私は観念し彼の悪戯っぽい目を見つめながら…。

慶喜さんの優しいキスが欲しい…と、小さく呟いた。


「慶喜さんの…キスが欲しいです…」



私がそう呟くと、彼はふっと微笑み私に優しいキスをくれた。



「……んっ…」


角度を変えながら何度も繰り返される長いキスに、私はそれだけで身体中が熱くなっていく…。




ひとしきりキスを交し合うと、彼は私の耳元で囁いた。



「……今度は、どこに欲しい?」



「分かっているくせに……」



その悪戯な視線を受け、私は思わず目線を逸らした。




私の弱い部分を知ってて、わざと聞いてきているのだと分かっているけれど…。



何かに捕らわれたようなそんな不思議な感覚と、彼の甘い囁きに翻弄され始める。




「……まずは、ここだよね」



彼は、くすっと微笑み、私の首筋にキスをすると柔らかい唇で耳朶を擽ってきた。




「……あっ…」



「そうそう、その声…もっとお前の可愛い声を聴かせて…」




また耳元で囁かれ、私は思わず顔を背ける。



「…んんっ…」



彼は、私の首筋にキスをしながら片手でブラウスのボタンを外し始めた。


ポツンッ、ボツンッと、彼の細長い指がぎこちなくボタンを外す度に気持ちが高揚していく。



そして、全てのボタンが外され胸元が開かれると、腕に絡んだままのブラウスを脱がされ、スリップの肩紐は腰のあたりまでずらされていく…。




そして、プチンという音と共にフロントホックが外された……。


「あっ……」



私は思わず、緩んだブラを押さえ込む。



「……灯りを消して…」




そう懇願すると、彼は、「それは出来ないな…」と、言って目を細めた。




「お前の切なげな表情が見えなくなるからね…」




言いながら彼は私の腕を掴むと、ブラをよけながら乳房に触れた。



その手で何度も触れられる度、そして、優しい声で囁かれる度に甘い吐息を漏らしてしまう…。




(……ああ…どうしよう……)




抱かれるのは初めてじゃないのに、まるで初めて抱かれたような感覚…。




ソファーだから?

リビングだから?



いつもとは違う彼の視線や甘い言葉に、勝手に胸を躍らせているだけなのだろうか…。




「綺麗だよ、○○…」



そう言うと、彼は私の乳房に触れながら、同時に敏感な部分に舌を這わせた。その途端、私は思わず彼の肩にしがみつき、込み上げてくる感情を必死で抑えこむ。


「……慶喜さん…私、もう…」



「まだだよ、○○…今夜は、いつもと違うお前が見たいと、言ったよね?」



言いながら、彼はスカートを腰のあたりまで捲り上げ太腿を優しく手繰り上げると、私の一番敏感な部分に触れた。


「……あっ…ん…」


彼の指がその部分をなぞる度に、自分でもびっくりするほどの声が零れてしまう。



いつもと違う私……。



こんなにも敏感になっているのは、その言葉のせいかもしれない。


(…もう、我慢出来ない……慶喜さんが…欲しい…)


「もう、十分過ぎるほど溢れている…」

熱い視線を受け、私は我慢出来ず彼の首に手を回して懇願した。


「……慶喜さん…もう、我慢出来ない……」

私は抱きついたまま、切なげな声で懇願した。

すると、彼はゆっくりとパンティをずらし出し、また私の耳元で囁く。

「ここにもキスしていい?」

なおもそこに触れながら、彼は私の乳房にキスをし、その柔らかい唇が胸の谷間に触れる。

やがて、その唇は腹部を通って足の付け根へと移動し、最後はそこへと到達した。

「あ……ダメ…」
「……じゃ、止めようか…」


また熱い視線を向けられ、私は彼の腕に触れながら小さく懇願する。

「ん…やめないで…」


刺激されながら、彼の頭が小刻みに動くのを見る度に何度も耐えがたい快感を受ける。


(……んんっ…どうしよう…本当に我慢出来ないよぉ…)


「もう……」

訴えもむなしく同時に指で攻められ、私は思わず大きな声を漏らした。

「あああっ……」

「もう、我慢しなくてもいい…」

「……えっ…」

再びとろけるようなキスを受け止め、

「お前の可愛い顔が見たい…」

低く囁かれた。

徐々に指の動きが速まり、今まで感じたことのない快感に思わず身体を仰け反らせた。


「あっ……ああ…も、もう…本当に…い……」

慶喜さんのうなじに手を回しながら全身で愛を受け止める。

だんだんと激しさを増す指の動きと、首筋に唇の感触を感じながら私は、その腕の中で耐えられずに背を逸らしながら弛緩した。


「可愛かったよ…○○」

「ううぅ…」

「いつもより感じてくれたみたいだね…」

息を整える私に、彼は優しく囁いた。

「……続きはベッドでしょう」

彼は、私の胸元にブラウスを被せると、そっと抱き上げニコッと微笑んだ。


「俺も、もう我慢の限界なんだ」

「け、慶喜さん…」


廊下伝いにある寝室に入り私をそっとベッドに下ろすと、ベッド脇の小さな明かりを点け、自らシャツを脱ぎ再び私に覆いかぶさってきた。

広い肩幅、端正な身体を見る度に、胸がドキドキし始める…。

そして、再び彼のキスを受け止めると、私はゆっくり上半身を起こし彼の胸にキスをした。そして、そのまま彼の身体を横たえ上に覆い被さった。

バサッという音とともに、彼の長い髪がシーツの上で乱れ、

「どこにキスして欲しい?」

私の問いかけに、慶喜さんは柔和な微笑みを浮かべながら自分の唇を指し、私の頬に優しく触れキスを促してきた。

それを受け、私は彼の唇に優しいキスを落とす。

その瞬間、彼に髪を優しく撫でられ背中を抱きしめられた。その温かい手の温もりを感じ、彼にキスをしているだけで、私はまた変な気持ちに捕らわれはじめる。

「……んんっ…」

(……えっ…うそぉお…キスしてるだけなのに…)

キスをしながら、また絶頂を迎えそうになるのを必死で堪えていると、そんな私に気づいたのか、彼はこれだけで?と言いたげに私を見つめてきた。

「その顔、嫌い…」

泣き笑いのような顔で俯く私を見つめながら、彼はくすっと笑うと、愛おしそうに抱きしめてきた。


私から攻めようとしていたのに、いつの間にかまた彼のペースになってしまっている…。


「…慶喜…」

「愛してるよ、○○」

いつもよりも強引な彼のキスを受け止め、思わず驚きながらも彼の背中に手を回し抱きしめる。

「んっ…」

そして、両足を抱え込まれると同時に、彼のそれをゆっくりと受け入れる。

「あああっ……んっ…」
「……っ…○○…」

彼は私の膝にキスをしながら律動し始めるその腰の動きと共に、熱い舌が私の膝を舐める度に、ぞくぞくと身体が震え嫌らしい声が漏れた。

「……いい声だ…余計に興奮するね…」
「んっ……ああっ…」

彼の低く呟いた声……。
この声にも異常なほど反応してしまう…。

その顔は、今までの彼とは違って見えた。


それから、耳元で掠れたような声を耳にしながら、何度も唇を重ね合わせ…

思いを受け止めあい。

感じ合った。



「こんなに感じたのは初めてかもしれないな…」

「慶喜さん…」

「お前の切なげな顔と、色っぽい声にやられたよ」


それは、こっちの台詞…と、言い返そうとしてすぐにまたキスで口を塞がれた。


「……もう一回、する?」

「……ばか…」


彼の悪戯っぽい笑顔に苦笑しながらも、そっと腕に寄り添った。

この人を選んで良かった…。

この人に選ばれてよかった…。

私はすぐ傍にある彼の温もりに触れながら、素直な気持ちと、彼への想いを再確認したのだった。



<おわり>


お粗末さまでした(⊃∀`* )
初の艶シーン…難しかった;
 

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