□かみなりおちた
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※アレス軸のみんなの学年がいまいち分かってない
基山、八神→3年 夢主、緑川→2年
のつもりで書いてます。

追記
この話書いた後に永世の子たちの学年知りました…。学年違ってるので私の都合で書いたパロだと思ってください。






朝、下駄箱で靴をはき替えて教室に行こうとしていると基山先輩に会った。
「おはよう」
綺麗な笑顔で挨拶をしてくれる。そんな基山先輩に見とれつつも私もしっかりと挨拶を返した。
基山先輩は1つ上の先輩で去年同じ委員になってから仲良くなった。
とても顔が整っていて頭も良くて優しくて運動神経も良く、サッカー部のキャプテンでエースストライカー。笑顔が綺麗で先輩が微笑めば周りの女子はみんな見とれてしまう、貴公子の様な振舞いでというか実際サッカーではフィールドの貴公子と呼ばれているそうだ。そんな基山先輩は後輩にも同学年にも人気者。
仲良くなれたことが奇跡みたいなこと。
そんな高嶺の花の存在に私は恋をしてしまった。叶わないとは分かってはいるし何度も諦めようとしたけれど、結局大好きな気持ちは消えずに、言えずにずっと片想いをしている。
「なんだか雨が降りそうだね」
『天気予報でも昼過ぎから雨だって言ってました』
「え、そうなんだ」
傘忘れちゃったな、そう困った顔で言う先輩に帰り一緒に帰りますかなんて言いかけてその言葉を飲み込んだ。
いくら今日サッカー部の練習がない日だからって帰りが一緒になるなんて思えないし、なにより先輩と相合傘なんて彼女でもないんだから私からそんなことを気軽に言えない。他の女の子たちにどんな事言われるか…。
「ナマエちゃんは傘持ってきてるんだ、さすがだね」
そんな些細な言葉にさえいちいち舞い上がってしまう。
『毎朝天気予報はしっかり見てるので…』
「俺なんて今朝ちゃっとだけ寝坊しちゃってね、慌てて準備して来たんだ」
少し恥ずかしがりながらそう言って基山先輩は笑った。なんともかわいい意外な一面だ。先輩も寝坊とかするんだなぁ。
これは私だけの秘密にしておこう。
「それじゃあね、ナマエちゃん」
『あ、はい!』
階段を上る先輩の背中を見つめる。今日はいい日だなぁ。永世学園は大きいから基山先輩に偶然会えるなんて珍しいことなのだ。いつも自分から会いに行っているから嬉しい。
短い時間だったけれど先輩に朝から会えて話せたなんて朝の占いで1位だったのかもしれない。
私は気分よく自分の教室へと入っていった。


お昼すぎ、天気予報通り雨が降った。
放課後になると皆一斉に下駄箱へと向かう。私も先輩に会えないかなと期待を抱いて向かった。
辺りを見渡しても基山先輩の姿は見えずやっぱりそう上手くはいかないと思いつつもちょっとだけ肩を落とした。
先輩、誰と帰ったのかな。友達の傘に入って帰ってるのかな。
そんなことを考えながら帰路につき、曲がり角を曲がると2人の男女の永世学園生が相合傘をして歩いていた。
『え……』
雷に打たれたかと思った。その場から動けなくなって息が止まって心臓が痛い、手足が震える。
あれは……基山先輩…?
ひとつの傘に入って2人で楽しげに話している。
先輩の隣の人は確か同じサッカー部の八神先輩だ。綺麗で運動神経が良くてスタイルも良くて優しい。
基山先輩とお似合い。そう、並んで歩く2人はとても絵になっていた。
動かない体を必死に動かして雨の中全速力で走った。
叶わないって分かってた、だけどやっぱり嫌だ…。嫌だ!
気づくと学校まで戻ってきていた。肩で息をしながら私は思い出す。
そういえば、前に先輩に「妹みたいでかわいい」って言われたっけ。
あの言葉はやっぱりそういう意味だったのかな…。なんだ、私もう答え貰ってたんじゃん。
喉が絞られるような感覚になって鼻もツンとして視界が歪む。息が苦しくて制服の上から心臓を掴むけれど治まらない。
『うっ……うぅっ………』
傘を手放してぐしゃぐしゃの顔を腕で隠してしまいたかったけれどバッグの中が濡れる、としっかり柄を握っている真面目な自分に泣きながら呆れた。
雨に濡れて涙を一緒に流したかったのにさすがに教科書を濡らす訳にはいかないよね。
「ミョウジさん?どうしたの」
不意に後ろから声を掛けられて肩が跳ねた。この声は同じクラスの緑川くんだ。
しまった、見られてしまった。ゆっくり振り返ると私の顔を見た緑川くんはギョッと驚いた。
「え!?何があったの!?」
少しあたふたしつつも私の顔をそっと覗き込んでくる緑川くんの眉は下がっていて、心配してくれている事が分かる。優しいなぁ。
なんでもないよ、と首を振るとしばらく無言の後、そっかと先程と変わらない表情で頷いた。
「大丈夫?帰れる?」
送っていこうか、そう言われてそれは申し訳なさすぎるとブンブン首を降って断らせてもらった。そこまでしてもらう程の事じゃないんです。
こんな事で緑川くんに迷惑を掛ける訳にはいかない。
『ありがとう…、でも大丈夫。ちゃんと帰れるから』
また明日ね、そう言えばまた明日、と返ってきた。声色で心配してくれている事が分かる。
こんなただのクラスメイトをそんなに心配してくれるなんて緑川くんは90%が優しさで出来ているかもしれない。後の10%は、何だろ…。
不思議なことに先程まで指を動かすのもしんどかったのに今は普通に動かすことが出来るし足もしっかり動く。
胸が苦しいのは変わらないけれど、これも緑川くんのおかげかもだなんて事を考えながら家までの道を歩いた。
さっき基山先輩たちを見かけた道にはもう2人は居なくてホッとした。
『…先輩、さっき私が居たこと気づいてたりしてくれないかな』
そんな事を言いながらそれはさすがにないな、とため息を吐いた。



ーーーーーーーーーーー
疲れました。
続きます。

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