□返してください恋心。
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中学2年生で、私は恋をした。
相手は、隣のクラスであり学年1モテる南沢篤志くん。
きっかけは体育祭の時に足を捻挫してしまってグラウンドの端の方で座っていた私に肩を貸して保健室まで連れてってくれたこと。
南沢くんって何でもだるい、とか面倒だとか思ってそうだと思ってたから私を保健室まで連れてってくれた行為に驚いた。
単純な私はそれだけでその日から南沢くんのこと気になりだして。
でも結局、2年生が終わるまで南沢くんとはお話することも叶わなかった。
彼の周りにはたくさんの女の子たちがいる。
まぁ、なんというか、こわい。女の子たちが。
だから私は南沢くんを遠くから見ていることしか出来なかった。








3年に進級し、クラスの友達も雰囲気も去年とはだいぶ違う。
そんなクラスを見て私は不安、よりも期待の方が勝っていた。
何故なら同じクラスで、しかも隣の席に南沢くんがいるからだ。
話したことがないから緊張はする。
ファンの女の子たちもこわい。
だけど折角同じクラスになれたんだから何か行動に出ないと始まらない。
今年の私は積極的にいくぞ、そう意気込む。
隣を盗み見ればキラキラしたオーラに目が眩んだ。
なんて整った顔をしているんだろう。
そして、黒板を板書する姿が美しい。
盗み見るどころかがっつり見つめていると、先程まで真剣にノートを書いていた南沢くんがくるっとこちらを向いた。
「何か用?」
初めての会話に、初めて話しかけられたことにドキドキしている訳にもいかず、私はすぐさま首を横に振る。
すると、南沢くんはあっそ、と言うとまたノートを書き始めた。
はっ!何をやっているんだ私は。
折角のチャンスを無駄にして!
そう思った私はとんとんと、南沢くんの肩をつついた。
「.....なに?」
『あの、私のこと、覚えてる?』
言うと、南沢くんはじっと私の顔を見つめる。
『去年の体育祭のとき、捻挫してたのを助けてくれて...』
そこまで言うと、彼はふっと綺麗に笑った。
「覚えてないな」
『はっ......?』
覚えてない?いや、覚えてないならそれはそれでいいよ。別に。
でもその前の笑みは完璧に私のことバカにしてたよね?
ほら、今もムカつく顔をしてる。
南沢くん、いや、南沢がこちらを見て鼻で笑った。
今鼻で笑うとこあったの!?
私がマヌケな顔してたってか?
『やっぱり覚えてないよねー』
「だからそう言ってるだろ」
コイツ...!!!
ふざけてるんですかね!?
こんな人だったなんて信じられない。
見た目だけで中身は全然じゃないか。
私はこんなのに恋をしてしまったのか。
ナルシシストだとは聞いていたけど、かっこいい人のナルシシストは許せるけど。
「お前、」
『何....』
「オレの事、気になってんだろ?」
はあぁぁぁ!?
ダメだ。コイツのナルシシストはダメだ。
『...気になってないから』
「嘘つけよ。じゃあ何で自分のこと覚えてるか聞いたわけ?」
じっと瞳を見つめられる。
なに?何なの!?
自分から聞いたことだけど別にどうだっていいじゃん!
『...最初は、気になってた』
って、変なとこで私の正直な性格出た...。
だいたい、自分バカじゃないの?
保健室まで連れてってくれただけで好きになるなんてほんと単純すぎる自分が恨めしい。
今だにこちらの方を向いている南沢の方を見ると、彼はにやっと口角を上げた。
「ま、せいぜい頑張ってオレのこと惚れさせてみろよ」
『いや、だから最初はって言いましたけど、聞いてました?』
最初はってことは今は違うってことのんですけどね、そう呟けば強がりはよせ、と笑われた。
『ごめんなさい、これっぽっちも強がりなんかじゃありません。』
「どうだかな」
そんな会話をしていると先生から睨まれた。
ああもう、全部隣の席のナルシシストのせいだ。


私の明日からがとても心配になった。
そして私の恋心を返して。





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久しぶりの南沢夢でした。
最初はね、このネタを考え始めたくらいまでは真面目な内容だったはずなのにどこかで道を踏み間違えてギャグ路線走ってしまいました\(^^)/ナンテコッタイ



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