□jealousy
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・高校生パロ
井吹とかさくらとか同じ高校
・井吹に彼女います







気だるい午前の授業が終了し昼休みに入り、教室が一気に騒がしくなる。
午後の授業も充分気だるいけど。
俺は購買に行こうと、井吹を呼ぶ。
「井吹、購買行こうぜ」
「ああ」
教室を出る俺たちの後ろから遠慮がちにナマエが追いかけてきた。
『あの、瞬木くん、お昼なんだけど…』
「ああ。ちょっと待ってろ」
すぐ戻る、そう言って頭を撫でてやると ナマエ は気持ちよさそうに目を細めた。
「ひとりで待つなよ」
言うと、 ナマエ は何でととぼけた顔で返してきた。
こいつは結構鈍い。
鈍いうえに男子からの受けがいい。
外見がいいのもあるかもしれないが、誰にでも優しいからだと思う。
馬鹿な男はそれですぐ ナマエ に惹かれて近寄ってくる。
ほかの男を ナマエ に近寄らせたくない。
そういう俺の勝手な独占欲で、俺がいない時は野咲のところへ行くように言う。
「野咲と待ってろよ」
『うん、待ってるね』
教室へ入っていく ナマエ を見届けて俺と井吹も購買へと歩いた。

「お前、前から思ってたけどすごい独占欲だな」
井吹が呆れたような顔をして言った。
じゃあ逆にお前はどうなんだ。
嫌じゃないのか、ほかの男が好きな奴に寄りつくの。
言ってやると即答で返された。
「それは許せん」
「人のこと言えねぇじゃねぇか」
「それもそうだな。俺もお前と一緒で嫉妬深いのかもしれん」
「誰だってするんだよ」
井吹にも違うクラスの彼女がいる。
クラスが違うことを二人は気にしていないと言っていたが俺だったら耐えられない。
俺はあいつを目の届く範囲に置いていたい。
まあ、自分でいうのもなんだけど井吹も言っていた様に俺はきっと嫉妬深いんだろう。
昼休みで賑わう購買で俺は焼きそばパンとメロンパンとピザパン、チーズバーガー、お茶を買った。
教室に戻る途中で会った皆帆に二人ともたくさん買ったんだね、と驚かれた。
俺の隣の井吹を見る。
手には俺よりもたくさんのパンが積まれていた。
さすがにこいつには負ける。



教室に戻ると席について野咲と談笑している ナマエ と目が合った。
俺に気づいたナマエはこっちだとでもいうように手招きをする。
「後は二人でごゆっくり〜」
野咲が席を離れるときにそう言った。
ナマエ もそれに対して笑顔で返事をした。
『ありがとう』
買ってきたパンを ナマエ の机の上に置いて、椅子を持ってきて向かい側に座る。
『瞬木くん、今日も購買なんだね』
栄養偏るよ、と ナマエ がこちらを覗き込む。
『お弁当、作ってこようか?』
確かに ナマエ は料理が上手い。
俺だって弟たちがいるからそこらの奴らよりは出来る方だ。
ナマエ の作る弁当は俺が作るのより見た目も綺麗な上に味も美味い。
俺が作るよりもいいし、何より昼飯の分の食費が浮くのはいいかもしれない。
そう考えた俺は頷いた。
「それじゃよろしく」
ほどほどに期待してる、少しからかって言ってやるとにこにこと微笑んで瞬木くんのために頑張るね、とはにかんだ。
そんな ナマエ を愛おしく思いながら買ってきたパンを口に運んだ。
『あ、ねぇ瞬木くん! 何か食べたいのとかある?』
「別に何でもいいけど」
『何でもいいの? 好きな物とか…』
「お、 ミョウジ さんの弁当美味しそ〜」
俺と ナマエ が話しているのにも関わらず、男二人が ナマエ の弁当について絡んできた。
こいつら、俺の目の前で ナマエ に絡むなんていい度胸してんじゃん。
ナマエ は俺の気持ちなんて知らずに普通にその男どもと会話をしていた。
「自分で作ったんだ?」
「へぇーすごいね!」
『ありがとう』
そんな光景を目の前で見ている俺はイライラが募るばかりだ。
そんな奴らの相手なんかすんなよ。
無視してろよ。下心見え見えじゃねぇか。
でもお前は気づかないんだろうな。
そいつらの下心も。
俺の嫉妬心も。
「あ、これ貰ってもいい?」
男の一人が ナマエ の弁当手をつけようとした瞬間、俺の限界を超えた。
男の手を払って ナマエ の弁当からミニトマトを取って口に放る。
側で男どもが何か言ってるが無視して ナマエ の肩を掴み引き寄せるとそのまま強引に口づけた。
『っ........!?』
閉じられた唇を舌で開けてその隙間からミニトマトを舌で押し込んだ。
唇を離して ナマエ の口から伝うトマトの汁を舐め取ると、 ナマエ が顔を真っ赤にした。
俺は、呆然と立ち尽くしている男二人を見て言う。
「アレ? アンタら居たの?」
そう吐いて俺は ナマエ の手を引き教室を出て、誰もいない空き教室へ向かう。




『ま、まま瞬木くん......!!』
「なに?」
『なにじゃないよ!ど、どうして教室であんなこと…』
真っ赤になりながら俯いて俺のシャツを引っ張る ナマエ を抱き寄せる。
『...どうしたの?』
「何でもない」
そう素っ気なく返すと腕の中の ナマエ が笑った。
「何笑ってんだよ」
『分かったかも』
何が、 ナマエ はにこにこと嬉しそうに答えた。
『瞬木くん、嫉妬してくれたんだよね』
「.............」
鈍感なくせに。
何でこういうことは分かるんだ。
『ありがとう、嬉しい』
なんか悔しくてにへら、とだらしなく笑う ナマエ の頬を抓ってやる。
「嫉妬じゃねぇよ。
気分だよ、気分」
『私ね、知ってるんだよ。
瞬木くん、嫉妬するとこんな風に甘えてくること』
前もあったよね、バレていた事に少し恥ずかしくなり ナマエ の頭を胸に押し付けた。
『ヤキモチ焼く瞬木くんかわいい』
「...バーカ。」







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