□素直な彼女
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今日は土曜で学校は休みだ。
けど俺は部活をしに土曜でも朝早くに起きて学校へ行く。
グラウンドにはまだ誰も来ていなかった。早く来すぎたな。
俺は部室へ行こうと歩みを進めた。が、それは背中に感じた重みによって出来なかった。間違いなくのしかかられている。こんなことするのはアイツしかいない。
「オイ.....、」
重いんだよ、言うと背中に感じていた重みはなくなった。
『おはよう、豹牙!! 今日もかっこいいね!』
俺の背中にのしかかっていたのは、 ナマエだった。しかし、これも毎回のことなのでもう慣れてしまった。
慣れるっていうのもなんかおかしい気もするけどな。
「お前、毎回のしかかんのやめろ」
『のしかかってないよ?抱き着いてるんだよ』
愛情の表れだよ、にこにことそう話す ナマエにため息を吐く。
「最近、重いぞ」
言ってやれば ナマエが今度は正面から抱き着いてくるという謎の行動に出た。
「は!?お、おい......!」
『酷いよ、豹牙…!彼女にそんなこと言うなんて…!もう豹牙なんか大嫌いなんだから!』
「待て、言ってることとやってることが矛盾してるぞ。離れろ今すぐ」
何なんだよコイツ。俺はまたはぁ、とため息を吐いた。

ナマエから告白してきて俺も、まあ....好き、だったし頷いて付き合うことになった。
ナマエはもとから自分の感情に素直で思ったことをすぐに口に出すタイプだ。
それは俺としても嬉しいが、付き合い始めるとそれは言葉だけじゃなく行動にも出るようになった。
嫌なわけじゃないけど、反応に困る。
俺は ナマエみたいに素直になれないから。


『嘘だよ。あたしが豹牙のこと嫌いになるわけないじゃん!』
そう言って頬を擦り寄せてくる ナマエ。ぶっちゃけこういう行為はほんとにやめて欲しい。
理性を保つのがしんどい。少しは俺のことを考えろ。
部室に行くぞ、 とナマエを引き剥がして歩みを進めれば後ろから追いかけてきた。
『ね、豹牙!』
「何だよ」
『口寂しいなぁ』
ナマエは微笑んだ。
……馬鹿か?馬鹿なのか!?ここは外だぞ!そろそろ皆来るだろ!見られたらどうすんだ…!
「いや、無理だろ....」
『あたしまだ何も言ってないよ?』
「....お前が言いたいことが予想出来た」
『さすが豹牙!じゃあやろう!』
だから無理だって言ってんだろ、そう言うと ナマエは何でと聞いてきた。なんでも何もない。
「ここは外だ。それに、そろそろ皆が来る頃だから」
答えると ナマエはクスクス笑い始めた。
『赤くなっちゃってかわいー!豹牙ったら照れなくてもいいのに〜!』
「うるさい! お前は少しくらい恥じらいやがれ!」
『冗談だよ、冗談〜』
ケラケラと笑っている ナマエを睨みつける。
そして腕を掴んでおもいきり引き寄せて噛み付くようにキスをしてやった。
頬をピンク色に染めて嬉しそうにはにかむナマエ。その瞬間、俺の体温が一気に上昇した。


やっぱり前言撤回。いつも通りでいい。
恥じらわなくていい。
かなり心臓に悪い。






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お題:だいすき。様




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