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□我慢のご褒美
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練習中の京介を見ること、それは私にとって大切な時間だ。もちろんマネージャー業もちゃんとしてますよ?うん、大丈夫、ちゃんとやってます。
最近は過去に行ったりプロトコル・オメガとの試合で二人きりの時間なんてものは少ない。寂しいしモヤモヤするけど、でもそれはサッカーを守るため、円堂監督を取り戻すためだから仕方のないこと。

なんて、分かってはいるけどこうして一生懸命練習しているカッコいい京介を見ていると好き、って感情がぐいぐいと出てきてしまう。

京介に触れたい、話したい、京介の隣に居たい…。

『やばい、爆発しそうだ…』
もう限界です、少しでも京介とイチャコラしたい。だいぶ我慢したよ私。
やっと休憩時間に入り、私はタオルとドリンクを持って大好きな彼の元へ向かった。京介はそれを受け取ると、汗を拭きながら渡したドリンクに口付けた。あぁ…ドリンクを飲むという行為ですら色っぽく見えるよ。
『京介さん、京介さん』
私が京介をさん付けで呼ぶ時は何か企んでいると知っている彼は眉間にしわを寄せた。
「何だ…」
『お願いがあるんだけど…』
「どうせくだらないことだろ?」
言いながらまた眉間にしわを寄せる。
どんなことを想像してるんだ、この人は。そんなに険しい顔しなくてもいいだろうに。
『私にとってはくだらなくないことだよ?』
そう言うと京介は何をしてほしいんだ、と呆れ気味で答えを急かした。

『チューしてほしい、今』

言うと、京介からデコピンをくらった。地味に痛い…。いや、めちゃくちゃ痛いぞ。
「何言ってんだ、練習中だぞ…」
『だってさぁ、このところ二人きりの時間ないし…。そりゃサッカーに力入れないといけないのは私も分かってるけどさ……私の事後回しになってるって言うか…いや別にいいんだけどさ』
「…………」
『…いいんだけど、でも結構我慢してるしちょっとくらいならさぁ……』
「知るか…」
デコピンの次は頭にチョップをかまされた。
『っ…! いいじゃん!だって今きゅっ……!?』
休憩時間なんだし、言う前に強引に黙らされた。私の唇からゆっくり離れる京介の唇。そしてだんだんはっきり見えてくる京介の顔。
目の前の彼は私に向かって勝ち誇った笑みを浮かべていた。な、何なの…! なんか悔しいぃ!
『もう!今度は私が京介に不意打ちしてやるから!』
そう言うと、京介は面白そうに笑いべっと舌を出して上機嫌で練習に戻っていった。
なに、この敗北感…。でもこれでまた当分は我慢出来るかも。ふへへ、久しぶりに京介とキスしちゃった。
その後の練習で京介の調子が上がっていた事に気づいた私はニヤニヤしていたようで、葵ちゃんにちょっとだけ引かれた。



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