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□萌え
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『佐久間って格好いいよね』
源田にそう言うと彼は笑ってそうだなと、答えた。違う、そこは頷いちゃダメでしょ!
何のために佐久間のこと格好いいって言ってるの分かっているのか。私は絶対源田の方が格好いいって思ってるけど。
この人は嫉妬をしないのだ。しないというかしている所を見たことがない。私のこと好きじゃないのかな、とか思ったりするけど私に向けられたこの笑顔を見る限りそうではないらしい。
『手、つなご』
右手を差し出すと源田は少し照れながら握ってくれた。うん、幸せ。

『あ、佐久間だ』
前方に綺麗な髪をなびかせて歩いている佐久間を発見。挨拶ついでに話しに行こうと歩みを進めると右手を引っ張られた。
『?』
振り返るとさっきまでの笑顔とは真逆の真剣な顔の源田がいた。
「今は…話さないでくれないか?佐久間の所に行かないでくれ」
そう言いながら握っていた手に力が入っていくのが分かる。
そんな台詞をそんな顔で言われるなんて。畜生、彼氏の嫉妬が嬉しすぎる。まともに顔見れない。
俯いていると頭の上に暖かくて大きな手が乗った。
「さすがに2人きりの時に他の男と話をされたら嫉妬もする」
…………………………………。
『そ、そうだよね…!ごめんね』
急いで謝ると頬をつねられた。痛い。見上げると、普段は凛々しい眉を下げて優しく微笑んでる源田。顔がいい。
「お仕置きだ」
………かわいすぎる、どうしよう。こんなん耐えられない。
どうしようもなくて口から出た言葉が源田くん萌え。さすがに気持ち悪くて引いたかなと思ったけれど変わらず微笑んだままだった。
「ありがとう」
私の頬を抓っていた手が今度は優しくゆっくりそこを撫でた。
その時の笑顔が最高のデレ顔をしていて私は声にならない叫びを上げた。




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