short

□プレゼント
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今日は日曜日、そして私の誕生日でもある。今は南沢に誘われて南沢の家に遊びに来ている。
しっかしいつ来ても綺麗な部屋だなぁ。無駄な物がない。
「ナマエ…」
南沢が私の名前を呼んで抱き着いて胸に顔を埋めてきた。珍しく甘えてきた彼にビックリしつつもゆっくり頭を撫でてやる。すると、背中に回した腕に力を入れてぎゅっ、としてきた。
うわ、なんか今日の南沢かわいい…!1人で悶えていると胸元にあった顔が上を向いて笑みを浮かべていた。
「誕生日プレゼント、オレだけでいいだろ?」
…………………恥ずかしっ!て言うか、ありきたりすぎじゃないか?言うと、言っとくけどお前に拒否権ねぇからとどや顔で言われた。
何とオレ様な発言。バーカ、そう言うとアーホ、と返ってきた。悔しかったから普段は私からあまりしないキスをおみまいしてやった。ざまぁみろ!
でもすぐにそれはお返しされた。私のとは全く違う少し大人のやつだ。
1度長いキスをしてから位置や角度を変えながら何度も唇を重ねる。
唇が離れると、すぐ目の前で南沢がゆっくりと微笑んだ。うわ綺麗。
『…………南沢』
「ん、何?」
やっぱ何かちょーだい、言い終わるのと同時にデコピンされる。
「…お前まじあり得ねぇ、雰囲気ぶち壊し……」
雰囲気って何の。そもそもそんなんで誤魔化そうとする方があり得ないでしょうが。
『忘れてたりするのはいいけど誤魔化そうとしないでね』
そう言ってデコピンし返すと南沢は溜め息をついて私に千円札を寄越した。
『え、何これ………』
「それやるから1人で行ってこいよ」
…………コイツ。
『いいよ、南沢来ないなら倉間くんと行くから』
腹が立った私はそう吐き捨てて部屋を出ようとドアノブを握った。がしかし、後ろの方から腕を引っ張られ私より先に部屋を出た南沢に連れられて家の外に出た。
「やっぱオレも行く」
あんな嘘にむきになるなんて子供か、とツッコミたくなる。でもちょっと嬉しい。
「お前と他の男を一緒に居させたくない」
ワハハ、かわいいぞ。ムスッとした南沢の頬をつつくと更にムスッとした。可愛いね、言うとチッと舌打ちをして優しくキスをしてくれた。



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