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□げつようび
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※ ヒロト24歳設定


今日は月曜日だ。仕事に行かないと。私はまだはっきりとしない頭でそう考えてからだを起こした。
ふと、横で気持ち良さそうに寝ているヒロトに目を向ける。
あぁそうか、昨日ヒロトに我が儘を言われて結局泊まることにしたんだっけ。
いくら仕事があるから、と言っても帰してくれなくて諦めてヒロトの我が儘を呑み込んだのだ。しかし、誘いを押し切って断らなかった私もまんざらではなかったのかもしれない。
ベッドから出ようとすると腕を掴まれて再び布団の中に連れ戻された。
びっくりして視線を向けるとまだ寝てなよと、ヒロトが目元を擦りながら言う。
『私仕事なんだけど……』
言うと、ヒロトは私に抱き着いて擦り寄ってきた。その行動がかわいくてついつい甘やかしたい気持ちになったが、視界に入った時計に表示された時間のおかげで流されずに済んだ。ありがとう時計さん。
「まだ5時前じゃないか…」
そんな事言われても女という生き物は化粧というものをしなくては気が済まない。というか、すっぴんで外を出歩くなんて出来ない。しかし、ヒロトの寝起きは毎回こんな感じでなかなか離してくれない。私としては普段のかっこよさとのギャップがあって好きなんだけど仕事の日はちょっと遠慮したい。
さて、どうやってこの状況を脱け出そうか、考えているとヒロトはちゅっ、とリップ音をさせて不意にキスをしてきた。イチャイチャしようか、ヒロトが微笑む。
………………。
どうやら離してはくれないらしい……。好きな人に甘えられたらいくら仕事に行こうという気持ちを持っていても負けてしまう。私の場合、仕事よりヒロトが大事。うん、これは仕方ない。こうなったら私も甘えさせてもらうとしようかな。
ごめん、と心の中でさっき視界に入って私を止めてくれた時計に謝った。

ヒロトの白い頬に頬擦りする。
「可愛いね」
言った後に私の唇に自分のそれを重ねた。深く口付けながら私の後頭部を優しく撫でる。ヒロトがキスの最中にしてくれるこの行為が私は好きだ。気持ちいい。
唇を離すと、次は額に優しくキスを落とした。
『ヒロトってチュウするの好きだよね』
私がそう言うと目の前の彼はそうかもね、と笑った。
「でも、オレがキスするのはナマエにだけだよ」
そんな恥ずかしい台詞をさらっと言いのけてまた唇を重ねる。私の彼氏レベルが高い。
……これではらちが飽かない。そう思った私は満足そうな笑みを浮かべるヒロトに帰るよ、と言った。
が、返事が返ってこない。耳を澄ませると寝息が聞こえた。なんて幸せそうな顔をして寝ているんだろうか。
写真を撮りたと思ったけれど私に巻き着いている腕はしっかりしていて離れない。この距離だと近すぎるんだよなあ…もう少し離れたい。
からだを少し離すとん〜、と言いつつ離れた分またくっついてきた。
『……動けない』
これは完璧に仕事に間に合わないと、観念した私は仕事場に遅れることを連絡する。今度マッサージ1時間の刑だ。


ヒロトにぴったりくっついて私も二度目の眠りについた。すると、本当に寝ているのかという程の力でぎゅっと抱きしめてきたので起きたらたっぷり説教をしようと思った。



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