short

□帰さない
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『さーくーま、遊んで』
そう言ってオレの頬を人差し指で押してくるナマエ。オレはそれをテキトーに流して課題を進める。ん?この問題ってこの公式で合ってるのか?つか、これまだ習ってねぇな。
『さーくーまぁ!あーそーぼーってば!』
明日学校で鬼道にでも聞いてみるか。
『ねぇってば!!』
「ナマエうるさいぞ、さっきから」
だって佐久間が、そう言いながらナマエはオレの腰に腕を回して抱き着いてきた。頭をわしゃわしゃとしてやると目を細めてだらしなく笑う。かわいい。
『もう課題終わった……?』
ナマエがオレの顔を覗き込むので唇にキスを落とすと顔を真っ赤にして驚く。
「あぁ。良かったな、これでやっとオレと遊べるぞ」
少し意地悪く言ってみるとナマエはオレの背中を叩く。これが地味に痛い。オレが大袈裟に痛がっているとナマエがごめんね、と眉を下げて心配そうに頭を撫でてくれた。うーん、スッゲーマジで可愛い。
ナマエを抱き締めてやるとにへら、と嬉しそうに笑うので思わず首筋にキスをした。すると、ビクッとナマエの肩がはねる。
『さ、佐久間!? 何して……』
「何ってキス」
そう言うとナマエがまた顔を赤らめた。キスは何回もしているのにまだまだ慣れないらしい。
オレはもう一度彼女の首筋にキスをして唇にちゅう、と吸い付いた。するとナマエは俯いてえっちと、小さく呟いた。くそ、可愛すぎるだろ。
調子に乗ってキスをしまくっていると胸をドンと殴られた。軽く噎せる俺に構わずナマエが立ち上がる。
『もういい!私帰る!』
そう言ってドアノブに手を掛けて出ていこうとしていた。行かせるか。
「まだ帰さないぞ?」
オレの笑顔にナマエの表情が固まったので可笑しくて吹き出すとますますスネた。


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