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□入学の日
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桜が咲くこの季節。私は真新しい制服に身を包んで入学式の会場へと足を運んだ。
今日から通う高校はとても大きい。体育館も大きくてとても綺麗だった。自分の座席を探していると赤い髪の男の子とぶつかった。
『っ!あ…ご、ごめんなさい』
「ううん、こっちこそごめんね。余所見してて」
ぶつかった子は深いエメラルドグリーンの瞳に鮮やかな赤い髪を両サイドにハネさせている男の子だった。
うわぁ、かっこいい……。
ドキドキと胸が高鳴る。
それじゃあね、そう言ってその男の子は去って行った。爽やかで優しい笑みを浮かべて。
………ヤバい、これが一目惚れ………。

式中もあの男の子のことが離れなかった。クラス、何組なんだろうか、一緒だといいな。ずっとそんな事を考えていて校長先生の話や学校生活での注意事項なんか頭に全く入らなかった。

入学式の後はそれぞれ自分のクラスに入ってHR ということになっている。新入生が混雑しながらクラスへと移動している中、私も教室に入って自分の席に着く。隣の席、誰かな。
ぼけーっとしていると隣に誰かが座った。目を向ければそこに居たのはあのかっこいい男の子。まさか同じクラスだったなんて…。
彼はこちらに気づき、そしてまた優しく微笑んでくれた。一瞬にして顔に熱が集まる。
「やぁ、また会ったね。ナマエちゃん」
『っ!?…なん、で……名前を……』
名前を呼ばれたことでまた一段と顔が熱くなる。私の質問に彼はクスッと笑って答えてくれた。
「何でって、名前札つけてるじゃないか」
あ、そうだった。その言葉に私も彼の胸元にある名前札を見る。
『基山、ヒロト……くん』
そう口にすると何、と綺麗に微笑む彼のその表情に胸が熱くなった。心臓なんか爆発するんじゃないかと言う程バクバクしている。
『よ、よろしくね…!』
ときめきと緊張でそう口にするのが精一杯だった私に基山くんはよろしくと、微笑んでくれた。

これから学校に行くのが楽しみだな。



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