short

□かっこいい
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『倉間ー、部活行こうよー。』
私がそう呼び掛けると倉間はおうと、返事をしてイスから立ち上がった。
今日は私達2人供日直で部活に行くのが遅れた。部室に入ると当たり前だけど誰も居ない。
倉間の方を向くと、もう既に学ランを脱いでシャツのボタンに手を掛けていた。
『ちょ、脱ぐの早すぎ!私が居なくなってから脱いでよ!』
そう吐き捨てて私は女子専用の更衣室に駆け込んだ。着替えるの早すぎる。

着替えを済ませて倉間の元へ戻ると彼も準備が整ったようだった。
『待っててくれたんだ!ありがとう』
そうお礼を言うと別に、と返ってきた。
『あ!』
いいこと思いついた!私は自分のしていたピンをはずして倉間につけた。すると、隠れていた左目が現れる。
『うわ!可愛い、可愛いよ倉間!』
「別に可愛いくねぇよ……。つか、可愛い言うな」
だって可愛いんだもん、そう言って頭を撫でると腕を掴まれて次の瞬間には視界が一転していた。あれ、私いつの間にベンチに寝たんだろ……。
気づくと倉間が私の上に股がっていた。
「お前、オレのこと男だと思ってないわけ?」
『思ってるよ、だって彼氏じゃん。』
ホントかよ、倉間の顔が近づく。
『あのー……倉間さん?』
「黙ってろ」
ヤバイヤバイ、ここ部室…。この状況を見られるのはまずい。
どうしようかと、考えていると倉間の顔が歪んだ。
「いってぇぇ!!………っ何すんデスか、南沢さん!」
倉間はそう怒鳴りながらベンチを降りる。南沢さんが腕を組んで立っていた。
「お前らイチャつくなら他でやれ。……まったく、練習に来ないで部室で何やってんだよ」
はい、実にその通りです。
「はいはい。じゃあオレら練習行きますんで。」
倉間は私の腕を掴んで部室を出た。
『倉間、何かさっきはごめんね。』
倉間はいつでもかっこいいよ、そう言ったら肩にグーパンされた。痛い、何で。


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