tns短編

□尾行?違うぜ、ついて行ってるだけ
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「それにしても相手、来るの遅いな」

「くそくそ!名前とデートする上に待たせるなんてなんて奴だ!」




なんとなく呟いた俺の言葉に、岳人が騒ぐ。

おい…そんなに騒ぐと名前に気付かれるぞ;






「……あ、」

「どうしたの、日吉……あ、」



ふと遠くをみて声を発した若に、長太郎が尋ねながら同じ方向を見て声を発する。




そんな2人のやりとりを見て、全員が彼らと同じ方向を見ると、そこには笑顔で名前に歩み寄ってくる、





「た、滝??」




そう。岳人に黙ってオシャレをして出かけ、待ち合わせの名所にて名前が待っていたのは俺たちのチームメイトで、名前を可愛がってる滝萩之介だった。



デートの相手の正体がわかり、それが滝だったことに、俺たちは拍子抜け。岳人と跡部なんて、見るからにホッとした表情をしてやがる…激ダサ。








「…追いかけんでええの?」



忍足の言葉に、名前たちを見ると、そこには2人寄り添って歩いていく姿が。



いや…滝が相手なら尾行なんてする必要ないだろ、?





「くだらない。滝さんが相手なら放っておいても大丈夫でしょう」



俺の気持ちを代弁するように若が口を開いた。

だよな?もしこれが知らない男だったら尾行を続け、名前が危ない目にあいそうになったら助けたり、邪魔したりするけど。

滝なら、







「あーん?何言ってやがる、追うぞ!」

「「おーー!」」

「ったく…萩之介ばかりいつもいつも狡いんだよ」

「跡部、本音出とるで」





若の言葉を一蹴したのはやっぱり跡部だ。

しかもその跡部の言葉に元気よく返事をしたのは岳人とジロー。こいつら…絶対に邪魔する気だろ。



















「こちら向日、対象に動きはありません。どうぞ」

「こちらジロー、2人が向かう先には確か美味しいケーキ屋さんがあったはずだC〜。どうぞ」

「こちら俺様、よしこっそりと追跡を続けろ。どうぞ」


「おい、お前ら何やってんだよ」





呆れたような表情をし、ため息交じりで3人に声をかけたのは宍戸さん。宍戸さんがそんな表情をするのも当たり前です。

滝さんと名前先輩を尾行をすると決まった途端、ジロー先輩が『なんか探偵みたいだC!』とはしゃいだ所為で、跡部さんが調子に乗り、家の人にトランシーバーをすぐに用意させ、俺たちに1つずつ配り、近くにいるのにそれを使って向日先輩とジロー先輩と3人で会話をしてるんですから。

……あ、すみません自己紹介がまだでしたね。宍戸さんが疲れているようなので、ここから先は鳳がお送りします、よろしくお願いしますっ!






「あ、ケーキ屋に入るみたいやで」




忍足先輩の言葉に前を見ると、ジロー先輩が言っていたであろう“美味しいケーキ屋さん”に入って行く2人。

2人が店に入ったことを確認し、俺たちは店の前まで進んだ。すると店の入り口に『カップル様限定ケーキセット!』というボードが置いてある。





「滝さんはあまり甘いものが好きではなかったはず。名前さんがこれを食べたくて滝さんに一緒に来てと頼んだんじゃないんですか?」



面倒くさそうに、早く帰りたそうにそう言う日吉。確かに…滝さんはあまり好んでケーキを食べていなかった気がする。





「それなら俺でもよくね?」

「「いやお前はダメだろ」」





ぽつりと呟いた向日先輩に、宍戸さんと跡部さんが即座に言い返す。そうですね…確かに、向日先輩と名前先輩はそっくりな双子ですから、カップルには見えない。

でもそれなら、幼馴染である宍戸さんやジロー先輩でも良かったはず。






「くそっ、俺様でもいいはずだろ!何故いつも萩之介ばかり……。おい!ここから出てくるまで待ち伏せするぞ!」




……まだ尾行するんですか、跡部さん。






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