tns短編

□初対面@立海編
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「たるんどるっ!」


「……っ、!?」


「黙りなよ、真田。(黒笑)」


「…うむ」





さて、これはどんな状況なのでしょう?

今より少し幼い立海の主将に優しく抱きしめられ、その腕の中で静かにポロポロと涙を零す赤髪の少女。

彼らの横には険しい顔をした副主将、その前には飄々とした表情の銀髪の少年。


もう一度問いましょう。これはどんな状況??さぁ、それを理解するためにも、少し時間を遡りましょうか。







初対面@立海編











『えっと、ここであってるのかな?』



名前は地図を片手に目の前の建物を見つめる。




『今日は大丈夫だって言ってたのに、呼び出すのが急なんだからー…』



ぶつぶつと呟きながら校門をくぐる。入り口には“立海大付属中学校”と書いてあった。








今日は、ここ立海大付属中学男子テニス部と彼女の所属する氷帝学園中等部男子テニス部が練習試合をしているのだ。


人手が足りない時に手伝うマネージャーみたいな存在である名前は、一緒に来るはずだったが、跡部に今日は来なくていいと言われていたので、家でゆっくりしていたのだ。



しかし昼前になり、やはり今すぐ来いと跡部から連絡が来、バスを乗り継いで立海まで1人でやって来たのだった。






『…えっと、テニスコートは、…あ、あったあった!』





きょろきょろと探すと、すぐに目に入ったテニスコート。しかし氷帝程ではないが、フェンスをぐるりと女子が囲んでいて到底近付けやしない。


名前はため息をつくと、ちょっと探検してくる、と跡部の携帯にメールをいれ、初めて来た立海を探検することにした。









『わー、気持ちいい!』





校舎裏をふらふらと歩いていると、一部だけ日向になっている場所があり、そこに立つと、さぁっと気持ちの良い風が流れていく。


服が汚れることも気にせず、名前はその場に座り込み、空を仰いだ。








そんな彼女に、忍び寄る影あり。

それはニヤリと笑みを浮かべた少年だった。













「たるんどるっ!!」

『、?!?!』




近くで聞こえた怒声に名前は身を縮こませて声の聞こえる方を見上げる。




「貴様、氷帝テニス部の部員だろう!こんな所で何をしている!」

『え?え?』

「サボりとは…たるんどるっ!!」

『っひぃ、』






名前は、初対面の男(それも老けていて大分年上に見える上に、とても恐い顔をしている)に怒鳴られ、元から大きな目を真ん丸にした直後、その目からボロボロと大量の涙を流し始めた。








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