tns短編

□初対面@青学編
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――青学side




「あ、」

「?どうした?」


先輩たちの試合が終わり、次の試合が始まるまで休憩をもらった後輩たち。

他校の試合を見に行こうと、わやわやと話しながら歩いている少年6人。


不二が不意に声をあげ、不思議に思った手塚が尋ねると、不二は前方を指さした。



「あの子……」

「泣いてる、ね…」

「どうしたのかにゃー?」

「こりゃ大変、」

「迷子の確率100%」

「手塚、どうする?」




自分たちが話しかけるべきか、大人を呼んで来るべきか、不二が手塚にどうするかと問うと、手塚は小さくため息をついて少女に近寄った。










『…ぅ……、?』


少女は、自分に影がかかったことで誰かが近寄って来たことを悟り、不思議そうに顔をあげた。



「……………、」


しかし、少女にどう声をかけるか考えずに近づいてしまった手塚は、自分より小さい体を一層小さくし目に涙をためて自分を見上げる少女に頭が真っ白になり、2人を沈黙が襲う。




「「…………」」



そんな2人をみて、仲間たちは改めて手塚の口下手さを痛感したのだった。








「君、迷子かい?」


すかさずフォローをしたのは大石だ。

そんな声をきいて、少女は自分を取り囲む少年たちに気が付き、顔を引き攣らせた。





「そのジャージは氷帝のだな。」

「あれ?氷帝が試合をしているコートは反対方向じゃなかった?」


キランと光る眼鏡を押し上げながら言う乾に、河村が乾に尋ねる。


ああ、そうだったと思うが。と乾が口を開こうとしたが、その口はあんぐりと開いただけで、声が発されることはなかった。





「え、え〜?どうしたの〜??」


菊丸が驚いたように少女に近寄る。大石と河村はオロオロとし、手塚と乾は困ったように眉を寄せる。



『っ、う〜〜〜、』



それも、目の前の少女がより一層泣き始めてしまったからだ。







「泣かないで、可愛い顔が台無しだ」

『……、?』



そんな少女に声をかけたのは、今まで傍観していた不二だった。






「大丈夫、僕たちがちゃんと君の仲間の元に連れて行ってあげるから」



不二はそう言って優しく少女に笑いかける。すると少女は安心したように肩の力を抜き、頭を撫でる不二の手を受け入れた。






「さ、さすが不二だにゃ〜;」

「う、うん、そうだね…」



そんな不二と少女の様子をみて呟いた菊丸の言葉に、全員が頷いた。







「氷帝が試合をしているコートに行けばいいのか?」



手塚が少女にそう尋ねると、ビクリと体を強張らせる少女。不二はそんな少女の反応をみてクスリと笑う。






「どうやらこの子は手塚と乾が怖いようだよ」

「「……、」」



その言葉に同意するように不二に身を寄せた少女に、ガーンという効果音が聞こえてきそうな表情をする手塚と乾。






菊丸と大石と河村は、そんな2人の表情をみて、珍しいこともあるものだ、とクスクスと笑った。







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