tns短編
□スキンシップはほどほどに
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こいつは、誰だ
「彼女だなんて…本当に違うんですっ!」
「赤也ったら、こんなに可愛らしい子が近くにいるのに好きにならないなんて…」
「……先輩にも、好みがありますから」
「名前ちゃんがお嫁に来てくれるなら大歓迎なのに!」
「…私は嬉しいですが、先輩は私のこと何とも思ってないんですよ。……私の一方的な片想いですから」
……もう一回言っていいか?
お前誰だよ!!
「切原さんまた英語赤点だったの?」
「……悪いかよ」
「バカなんじゃない」
「お前なぁ…」
「ねぇ、それが教えてもらう態度なの?」
「……くそっ」
俺、切原赤也!
ただいま大ピンチ!……みたいだな。
この前の中間テストで、ちゃんと先輩たちに教えてもらったっていうのに、英語で赤点とっちまったんだ。
で、次の月曜日に再試があるんだから、土日で先輩たちにもう一度教えてもらおうと思ってたんだけど、どうやら用事があるようで。
「再試で点数とれなかったら、私が幸村さんたちに嫌味言われるんだから、ちゃんと説明きいてよ」
「わかってるって!お前後輩のくせに生意気すぎ!」
「うるさい、早くこの英文訳して」
先輩たちのかわりに俺に英語を教えてくれているのは、女子テニス部1年の名前だ。
こいつは帰国子女で英語に強いので、副部長がこいつに頼んだらしい。
「ふーん、やればできるじゃん」
「まじ?再試いけると思うか?」
「…それはまだまだじゃない」
「あーマジかよ!もう頭疲れたぜ…」
「じゃあ休憩する?」
「ああ、そうしようぜ。飲み物とってくるわ」
「ん、ありがとう」
勉強していたのは俺の家で。
午前中はお互いに部活で動き回り、返ってすぐに勉強を始めたので、疲れてしまい、休憩をすることにした。
リビングに行き、適当に冷蔵庫の中からオレンジジュースをとってコップにつぎ、部屋に戻る。
「ジュースついできたぜ、…って」
「…………、」
部屋に戻ると、そこには眠ってしまっている名前がいた。
「…部活頑張ってたもんな」
こいつは1年のくせに女子テニス部の誰よりも強く、先輩たちから期待されており、練習する時は、男テニレギュラー同等のメニューを課せられている。
そのメニューを嫌な顔も、辛い顔もせずにこなしているんだ。
「…って、こいつ…やっぱ可愛い顔してんのな」
眠っている名前をみていたら、思わずそんな言葉がこぼれた。
綺麗な髪に、長い睫毛。白い肌に、華奢で小さい身体……。
「うわ、何考えてんだよ」
生意気なこいつに対してそんなことを思ってしまった考えを、頭を勢いよくふって追いやる。
「……何考えてたの」
ふと聞こえた声に、嫌な予感がして振り返ると、そこにはニヤリと笑ってる名前がいた。
い、嫌な予感しかしねぇ。
「私からしたら、切原さんのほうが可愛いけどね」
「う、嬉しくねぇっつうの」
「なんか、こう…見てたらね、なかせたくなる感じ」
中1らしからぬ色気を纏ってそう言う名前。
ちょ、危ない危ない、その発言危ねぇよ!
「切原さんさ、やっぱりバカだよね」
「はぁ?いい加減怒るぞ」
「いつも私にされてること考えると、自分の部屋にあげるなんて行動…バカがすることだと思うけど」
あ、なんかヤバいかも。って思った時には、もうベッドに押し倒されてた。
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