gntm短編
□ポッキーの日
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(微裏&下ネタ注意)
「…桜子ちゃーん」
「なに」
「銀さん糖分不足で死にそ」
「じゃあ死ねば」
「ちょ!ひどくないっ!?仮にも銀さん桜子ちゃんの彼氏だよね!?愛する彼氏だよねェ!?」
「ただの雇い主」
ツンとそっぽを向くこの女は、俺の経営する万事屋で神楽同様住み込みで働いてる。…そして、一応俺の彼女。……だと思う。
「……めんどくさいなー」
「なんか今辛辣な言葉が聞こえたんですけどォ!」
落ち込む俺を見て立ち上がり台所へと足をむける桜子ちゃん。俺はと言うと、ため息をつきながら呟いた桜子の言葉に、思わず涙がにじんでしまう。あー……本当に俺はただの雇い主なのかァ?泣きながら俺が好きだっつった桜子ちゃんは俺のみた幻だったってかァ?
「ん、これ食べていいから」
戻ってきた桜子ちゃんは、手に持った箱のようなもので軽く俺の頭を叩く。何をくれたのかと箱を手にし、視界にいれてみると、それは俺の大好きな甘いものだった。
「ポッキーじゃん!…あれ、でもなんでポッキー?」
「今日11月11日はポッキーの日なんだって。安かったから買ってきた」
面倒くさそうに答えた桜子ちゃんに、礼を言いながら箱をあける。久々の甘いものに嬉しく思いながらポッキーを食べていると、またどこかへ行っていた桜子ちゃんが俺の元に戻ってくる。その手には湯呑、あたたかいお茶をいれてくれたらしい。
「うおっ、ありがとう桜子ちゃん!さすが俺の嫁!」
「嫁になった覚えはありませんが」
「まーまー固い事は言わずに。お礼にこのポッキーを桜子ちゃんにもあげようじゃないか!」
「別にいりません。というかくれる気1ミリも無いでしょう」
つれない返答をする桜子ちゃんは、そんなことを言いながらもついでに用意したであろう自分のお茶を持って俺の隣に座った。……あ、そういえば。
「桜子ちゃん」
「なんですか、しつこいですよ」
「ポッキーゲームしようか」
俺の言葉に、桜子ちゃんが『うわぁ…』とでも言いたそうな引いた顔をしている。しかし、そんな桜子ちゃんの様子にも、糖分を補給できた俺はめげない!
「な?」
「……銀さんがチョコレートついてない方から食べてくれるならいいですよ」
その桜子ちゃんの言葉に、思わず固まってしまう。
「(俺の久々の糖分んんんっ!)…あの、逆じゃダメ?」
俺がチョコレートがついてない方から食べる、イコール、せっかくの久々の糖分なのにその分俺はチョコレートを摂取できない、ということだ。
「…数センチ分のチョコレートすら惜しむような糖尿病とはポッキーゲームなんてしません」
「おいぃぃぃい!銀さんは糖尿病予備軍!糖尿病じゃないからぁぁあ!」
「どっちでも同じでしょ」
「あーわかった!数センチのチョコくらい我慢してやらァ!」
冷たいことを言ってばかりの桜子ちゃんの口にポッキーを突っ込み、そこから出ているチョコレートのついていない方を自分もくわえる。
何も言わず、ポリポリとポッキーを食べ桜子ちゃんに近付いていくと、驚いて動けず俺を見つめる桜子ちゃんの顔がどんどん赤くなっていく。
羞恥に耐えられなくなったのか、ギュッと目を閉じてしまった桜子ちゃん。ポッキーを全部食いつくし、とうとう桜子ちゃんの唇まで到達した俺は、そのまま桜子ちゃんの唇までをも食らった。
「っん、」
桜子ちゃんの唇を割って、そこにまだ形を残し居座っているポッキーをも食いつくす。
ビクリと身体を震わせ、逃げようとする桜子ちゃんを抱き締め身動きとれないようにし、桜子ちゃんの口内に広がるチョコレート味をも舐めつくすように隅々まで舌を這わす。
「…っはぁ、…ばか」
そっと唇を離すと、少し涙目になり、息を乱した桜子ちゃんに怒られた。……こんな怒られ方されると反省なんて出来ねぇけど。
「俺がチョコレートついてない方から食べるならいいんだよな?まだしていい?今みたいに全部食っちまうけど」
ニヤリと笑いながらそう言いつつ、どうせまた辛辣な言葉が返ってきてそっぽ向かれるんだろうなぁ…、と思っていた俺。しかしその予想とは反し、桜子ちゃんは何も言わずに俺にぎゅっと抱きついてきた。
「い、いいよ……しよ?」
………落ち着け、俺。今のは『(ポッキーゲーム)しよ?』ってことだ。決してお誘いではないんだぞ!桜子ちゃんの許しを得たんだ、久しぶりのデレなんだ、今ならキスし放題だぞ、落ち着けェ!
…でも、そんな可愛い顔して言われたら、やっぱなぁ。
「桜子ちゃん。ポッキーゲームじゃなくて、ぼっきゲームしよ」
「死に晒せ天パ」
ポッキーの日!
(ごめんって桜子ちゃん!ポッキーゲームしよ、ゴフッ)
(近付かないで下さい坂田さん。あ、間違った、変態天パ)
(ちょ、坂田さんでも傷ついてるのに変態天パとか言わないでくれるぅう!?)
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