gntm短編

□鈍感と人見知り
2ページ/4ページ







「は?」


「いや…だから、それは俺のでも総悟のでもなくてお前のだろう?」






とりあえず屯所に戻り、副長室の前を通り掛かるとちょうど副長と隊長が一緒にいたので、お2人にハンカチの彼女のことを尋ねてみれば、返ってきたのはそんな言葉。








「ザキがソイツを助けて、怪我でもしたソイツにハンカチ渡して、今日そのハンカチ返したんじゃねーのかぃ?」


「え…でも、見覚えがなくて」







でもそう言われてみれば…、先週くらいに浪士に絡まれた女の子を助けた記憶が…。







「サイテーだなぁザキィ?自分に礼言ってハンカチにアイロンまでかけてくれた女覚えてないたぁ」


「沖田さん意地悪せんで下さいよ、今自分でもそう思ってるところです」







というか、本当に見覚えがなかった。既視感すらなかった。監察としてどうなんだ、自分を疑う。








「まぁ…そのままハンカチ持って逃げちまったんなら、その内また会った時に返してくるだろ。それまでにその女のこと思い出してやればいいんじゃねぇの」


「そうですね、そうします(さすがフォロ方さん)」


「でも、ザキの記憶に残らないなんて…ソイツよっぽど特徴が無いんで?」







沖田さんの辛辣(少しは言い方柔らかくしてるけど)な言葉に苦笑していると、スパンと勢いよく襖があいた。














「おい、挨拶も無しに入ってくn…」




借りにも副長室だ。勢いよく空いた襖に多少驚きながら顔をあげ、副長が注意しようとするがその言葉は途中でとまる。











「よぉ税金泥棒共。」


「な!?おまっ万事屋なんの用だ!」





入って来たのは万事屋の旦那で、彼と馬の合わない副長は飄々とした彼にかみつく。









「いやぁ、うちの子がお宅の子に粗相したみたいでね」


「うちの子だ?」


「そうそう。おまけに泣きながら帰ってきて“渡しそびれちゃった”だからね」


「はぁ?」





旦那の言葉に副長の頭にも隊長の頭にもハテナが浮かぶ。勿論俺にも。








「ってことだから。……ほら、桜子こっちおいで」



旦那がやけに優しい顔をしたと思ったら、旦那の後ろからさっきのハンカチの彼女が顔を出した。





その目は赤くなっていて、さっきの旦那の言葉を理解する。






(泣いたのか……もしかして俺の所為?)




そんな俺の考えを見透かしたのか、旦那と隊長が俺を見てにやりと笑った。







   
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ