企画小説
□今宵君に
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「この部屋に入れ」
「え、」
「お前がドアを開けろ」
そう言われて立たされたのは、他の部屋のより少し大きめのドアの前。
いつも通りの命令口調に、さっきときめいてしまったことを思い出して小さくため息をつき、私は扉に手をかけた。
―――パァンっパァン!
「!?!?」
ドアをあけた瞬間になった破裂音に驚いていると、目の前に見慣れた姿が。
「せーの」
「「「なまえ!お誕生日おめでとーーー!」」」
さっきの破裂音はクラッカーの音で、あちこちからおめでとうという言葉が飛び交う。
「あ、私…今日誕生日か」
「ふふっ、やっぱり忘れてたね」
「幸村」
「跡部に頼んでパーティーを計画してたんだよ」
部屋の中をみると、あちこちを綺麗に飾り付けてあり、『ハッピーバースデーなまえ!』という横断幕まである。
メンバーをみてみると、立海のみんなだけでなく、氷帝のみんなもいた。
…まぁ、跡部の家でするんだから、当たり前っちゃ当たり前かな?
岳「料理とかも自分たちでつくったんだぜ!」
ブ「もちろんケーキは俺の特製だぜぃ?」
ジ「ねねっなまえちゃん、びっくりした?」
嬉しそうに寄って来た3人。
「うん…びっくりした。嬉しい、みんなありがとう!!」
私が笑ってお礼を言うと、みんなも笑ってくれた。
「楽しんでるか?」
「あ、跡部。うん楽しい、ありがとう」
「そうか。……手出せ」
「ん?」
言われた通り手を出すと、跡部はポケットから細長い箱を出し、私の手に乗せた。
「Happy birthday,なまえ」
「うわさすが、無駄に発音いいね」
「……他に言う事ねぇのか」
「嘘だよ、ありがとう跡部。あけていい?」
「いいぜ」
そっとリボンを解いて、箱を開けると、そこには綺麗なブレスレット。
「わー…綺麗。これ…ルビー?」
「ああ、7月の誕生石だ」
「えっと…確か意味は、」
「宝石言葉は『情熱、勇気、自由』そして『愛と勝利をもたらす情熱的な石』と言われている」
「へ〜……」
「手出せよ、つけてやる」
「わ、ありがとう」
跡部は箱からブレスレットを取り出し、私が手を出すと、私の手首にブレスレットをつけてくれた。
「いいぞ」
「ありがとう」
「……似合ってるな」
「え…ありがと///」
「最後まで楽しめよ」
「うん」
今日は褒められてばかりだな…恥ずかしい。
ギャーギャー騒いでるみんなの元へ戻って行く跡部の後ろ姿に、もう一度『ありがとう』と呟いた。
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