企画小説
□金のエンジェル
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「うー…ん……ぐぁー、」
こうなるとは思ってた。
ただ、会ってすぐにこうなるとは思ってなかったですよジロー君。
どうも。私ここにいる芥川慈郎さんとお付き合いさせていただいてます、みょうじなまえです、以後お見知りおきを。
今日はジロー君の提案で、公園でデートをしようということになりまして…。
正直、日向のベンチに座ってお話なんかしてたらジロー君寝ちゃうだろうな、と思ってたんですが。
まさか会ってすぐに私の膝で寝てしまうところまでは想像できませんでした、はい。
私はすることもなく、というようなことはありません。
何度も言いますが、こうなることは想定内ですから。勿論暇つぶしの為に小説持参です。
…ふぅ、それにしてもいい天気。
ジロー君じゃなくても眠たくなってしまいそうです。
そんなことを思いながら、私の膝で寝息をたてるジロー君を見る。
…ジロー君は私なんかの何がよかったんですかね?どこにでもいる委員長タイプの地味女なのですが。
ジロー君はかっこいいです、可愛いです。いろんな人に可愛がられ、慕われます。そんな素晴らしい人が…何故私なんか。
「ふふっ」
『?ジロー君、起きてたんですか?』
「今起きたのー」
そう言う割に起き上がろうとはしないジロー君。……なんだ?
「ね、初めて会った時のこと覚えてるー?」
『…えっと、ジロー君がいきなり飛びついて来て告白してくれた時、ですよね?』
始まりはあの時。
ジロー君はいきなり私のクラスに現れ、私に飛びついて「好き!付き合って!」と言ったのだ。
同じクラスでジロー君の幼馴染だという向日君はこれでもかというくらいに目を見開いて驚いていた。
「やっぱり覚えてなかったんだー」
『?』
「それよりも前に会ってるんだよ?」
『え?』
記憶にない。
こんな強烈な人に会ったことがあったら忘れないはずだけど…(←失礼)
「…その時もね、」
『え、』
「こうやって頭撫でてくれたんだー」
本当に嬉しそうに笑うジロー君。
あ…私、無意識にジロー君の頭撫でてたんですね。もしかしてずっと?
「中庭で寝てる俺に、いい匂いのするブランケットをかけて、頭撫でてくれてたのー」
『……あ、』
「本当に嬉しくてね、心がぽかぽかしてきてー…でもすっごく気持ちよくってね…」
そのまま起きれなかったんだー、と言うジロー君。そう言えば中庭で寝てる金髪の男の子にそんなことした気がするけど…。
私、天から舞い降りた金のエンジェルだと思ってたんですよね、あの子。あれジロー君だったんですか。
そう言うと、ジロー君は声をあげて笑った。
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