tns短編
□初対面@四天編
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泣いて逃げる名前を笑顔で追いかける白石、そしてそんな2人を顔面蒼白で追いかける謙也。
「(他校の生徒にちょっかいかけた上に泣かせてしもてるやん白石!やばいわ!)」
一方泣きながら逃げている名前は、いつもは頼って名前を呼ぶ片割れや幼馴染がいないことに絶望を感じていた。
『(跡部くんが連れてくるからだぁ!)』
姿が見えない跡部に心の中で文句を言いいながらギュッと目を瞑り走った。
―――ドンっ
「うわっ!」
『きゃ、?!』
小春とストレッチをしていたユウジは後ろに衝撃をうけ、驚いて振り返る。
ぶつかってきたのは小柄な少女で、何やら前を見ずに走っていたようだ。
「なにしとんねん、ちゃんと前見て歩けや」
『うっ…ごめ、』
ぽろりと涙を流した(ユウジが知らないだけで元から泣いていたのだが)少女をみて、ユウジは焦る。
「ちょっとユウ君!なに女の子泣かせてるの!」
「小春ー!ちゃうねん、俺悪いことしてへんねん!」
目の前でなにやら喧嘩(?)を始めた男2人に、後ろから聞こえる自分を追ってくる男の気配。
本格的に泣いてしまいそうになった少女の目に入ったのは、そんな彼らの様子をじっと見ていた頼れそうな男の姿だった。
「名前ちゃん!……あれ、こっちにちっさい女の子走って来ぇへんかったか?」
「なんやねん白石、お前がアイツ追い掛け回しとったんかい」
「おおユウジに小春。今日も仲ええなぁ」
「いやん蔵リンったら、私は蔵リン一筋よ(はぁと)」
「浮気か!死なすど!」
追いついた白石は、その場にいたユウジと小春に名前のことを尋ねるが始まってしまったお決まりのパターンにわからず終い。
「ほ、ほら白石……。早よ着替えなオサムちゃんに怒られるで」
「んーせやな、部活せなな。このへんまで来れたんやったら連れにもそのうち会えるやろうし」
「そ、そうやで!早よ着替えよ!」
謙也は名前がどこに隠れているか知っていた。ちらりと見えてしまったのだ、彼女のスカートが。
このまま白石を連れて行けば彼女は助かる
その一心で白石を部室に連れて行った謙也は、彼女が頼った男に“あとは頼む”とアイコンタクトをとった。
行ってしまった白石と謙也に、不思議そうに首を傾げるユウジ。
そんなユウジの様子を見て小春はクスリと笑い、少女に声をかけた。
「もう大丈夫よ」
『……ありがと、ございます』
「構わん…白石はんが悪かったな」
ひょっこりと出てきた少女を見てユウジは目を丸くする。彼女は銀の後ろに隠れていたのだ。
「蔵リンったら女の子を追い掛け回すなんて…よっぽど貴女が気に入ったのかしらねぇ?」
『………、』
小春の言葉に顔を青くする少女。小春は涙目な彼女を慌てて宥め、自己紹介をした。
「金色小春よ、小春ちゃんって呼んでね」
「……一氏ユウジや。もうぶつかんなや」
「石田銀、よろしゅうな」
『あ…私は氷帝学園の向日名前です、さっきは本当にありがとう…』
ぺこりともう一度頭をさげた名前をみて、3人とも納得したような表情をする。
「名前ちゃんは跡部くんを探してるん?」
『あ、そうです…、跡部くんここにいます?』
「中で部長と話してるで、たぶんもうすぐ…」
『っ、ひぃ!』
ユウジが「もうすぐ来ると思う」と言おうとした瞬間、待ち人とは別の人が名前に抱き、名前が悲鳴をあげる。
「名前ちゃんは隠れんぼが上手やな?銀の後ろに隠れとったんやろ?俺名前ちゃんのことやったら何でもわかる気ぃするわ」
言わずもがな、白石である。
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