tns短編

□初対面@立海編
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「ひょ、氷帝の向日?!;」

「お前今まで俺たちと試合してただろぃ!;」



驚いた表情で少年に詰め寄る2人。


新たに現れた初対面の男に、またもや涙腺が潤んでいく少年。




「2人とも、あんまり怖がらせないでくれるかな?」

「「あ、ああ…」」




幸村はそんな少年に気付き、手のひらで少年の目を隠し、安心させるように抱きしめた。






「そ、それにしても…さっきまで俺たちと試合してた奴が、なんで幸村くんに抱きしめられてんだよ」


「そいつは向日だが、向日ではない。」




丸井の問いに答えたのは、立海の参謀こと柳だった。その横には、柳生の姿も。






「み、みなさん!そんなに大勢で女性を囲むなんて、感心しませんね…」

「「「女性!?」」」




紳士柳生の言葉に、驚いたように少年…いや、少女に目を向ける面々。







『あ、えっと…氷帝の向日名前、1年です。岳人とは双子で、跡部くんに呼ばれて来たんです…。』




ぽつりぽつりと自己紹介をする少女―名前。


しかし、驚きが大きかった所為で、岳人だと思っていた面々は身動きが出来ない。



不安そうにしている名前に、幸村はにっこりとほほ笑みかけた。





「俺は幸村精市。よろしくね、名前ちゃん」

「名前、俺は柳蓮二だ。データによるとお前はかなりの人見知りだったな。大勢で囲んでしまって悪かった」

「私は柳生比呂士です、以後お見知りおきを」




3人が自己紹介をすると、名前は懸命にコクコクと頷く。どうやら初対面が多すぎて一杯いっぱいのようだ。





「俺は丸井ブン太!シクヨロ☆」

「ジャッカル桑原だ。さっきはびっくりさせて悪かったな」

「…俺は真田弦一郎だ。別人とは思わずサボりだと言ってしまってすまなかった」

「仁王雅治なり。泣かせるつもりはなかったんじゃ、ほんまにすまんのう」





全員の自己紹介が終わり、頷くのをやめ、ニコリと笑顔を見せる名前。



その笑顔をみて固まる立海の面々。そんな彼らに名前は不思議そうな顔をした。





すると、そんな彼らのもとに、誰かを呼ぶ声が。その声を聴くと、今まで幸村の腕の中で大人しくしていた名前がピクリと反応した。








「アイツ…この前、青学の手塚や乾が怖くて泣いたって言ってたぜ?」

「くそくそ!立海にはもっとアイツの苦手そうな奴らがいるってのに…」

「名前ー!どこー?出ておいでよー」




どんどん近づいてくる少年たちの声に、立海の面々もその声の方を見る。するとそこには、氷帝のユニフォームを着た3人の少年たち。その中には、幸村が腕に抱いている名前と似通った容姿をしている奴もいる。






『岳人!亮ちゃん!ジロちゃん!』




名前が呼びかけると、それに気付き、こちらを振り返る少年たち。



名前を見つけられたことに安心しかけた少年たちだったが、彼女の泣いたような顔や、彼女をぐるりと囲っている立海の面々、それに彼女を抱きしめている幸村をみた瞬間、ぐっと眉間にしわを寄せたのだった。






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