tns短編
□スキンシップも必要です
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「あ、あれ丸井と名前じゃなか?」
「え」
休日、部活が休みで、仁王先輩にちょっと付き合えと言われ街を歩いていると、前方に見覚えのある赤髪と小さな少女。
……なんだよアイツ、オシャレしちゃって。俺と出かけるときなんて大体ジャージでストテニなのに。
「…後付けてみんか?」
「え、何言ってんすか;」
「赤也だって真相が気になるじゃろ?」
仁王先輩の言葉に、そうですけど、と同意すると、先輩は2人にバレないように後をつけ始めた。
「…どこ行くんすかね」
「ホテルかの」
「ほ、ほほほほほほっ!?」
「バカ、声がでかいぜよ」
仁王先輩の言葉に、思わずひっくり返った声をあげてしまう。が、先輩の手で口をふさがれたことにより、2人にバレることはなかった。
「あ、店に入った」
「あの店、有名なケーキ屋じゃないっすか」
店の前まで行ってみると“カップル様限定ケーキバイキング半額”という看板が。
……丸井先輩の好みそうなイベントだな。
「赤也」
「なんすか」
「名前って甘いもん好きやったか?」
「……そう言えば、あんまり食べなかった気が」
…丸井先輩のためなら、ってことかよ、ムカつく。
「向かいの喫茶店で、アイツらが出てくるの待つぜよ」
「了解っす」
俺たちはカップルじゃなくて、店に入っちまうと定価かかるから、向かいの喫茶店で時間をつぶすことにした。
「出てきました」
「よし、行くぞ」
ニコニコした丸井先輩と、少しげっそりした名前が店から出てきた。
俺たちも席をたち、また2人の後をおう。
「あれ?公園に入りますね」
「…そうじゃな」
次に2人が向かったのは人気のない公園。
ベンチに座って、何か話している。
「…聞こえんのぅ」
「近付きますか?」
「いや、これ以上近付くとバレる」
俺と仁王先輩は、2人がハッキリと見える茂みに隠れ、様子をうかがっていた。
……すると。
「あー…お熱いのぅ」
丸井先輩が、名前の肩に手をおき、名前はというと黙って目を閉じている。
…は?キスすんの?
「付き合ってる、で決まりかの。…っと、赤也?」
仁王先輩の言葉に、俺は慌てて立ち上がった。
仁王先輩が慌てているのも気にせず、早足に2人の元へ向かい、名前を後ろから抱き寄せ、丸井先輩から引き離した。
「っ、え?」
「……赤也、何してんだよ」
驚いている名前と、不機嫌そうに俺を睨む丸井先輩。
名前は、丸井先輩の言葉を聞いて、自分を抱きしめているのが俺だとわかったのか、慌てて俺から離れようとする。
「離れんなよ!」
「っえ、」
「お前、俺のことが好きなんじゃないのかよ!」
「…切原さん、?」
「俺のこと好きとか言っといて、他の男とキスすんじゃねぇよ!!」
「ちょ、切原さ」
「散々お前のこと好きにならせといて、他の男んとこ行くなよ!」
俺の言葉に、腕の中にいる名前が固まった。やっと抵抗辞めたな…。
……あれ?
ってか、俺
今、何て言った??
、