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□隣の彼は近いのに遠い
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「宮地」


「んだよ」


授業中の今、私と隣の宮地は小声で話している。
またかとか言いつつ私と喋ってくれる宮地は良いやつなのかもしれない。


「あのさ、今日のバスケどうだった」


「ああ、いつも通り緑間がわがままだったよ」


そう言いながら宮地は遠くを見つめるような眼をする。
あはは、バスケ部も大変なんだなと思いつつ、授業が終わるチャイムが鳴った。


「授業はこれでおしまいです」


今日はもう帰るだけ。私は帰宅部なので、帰る支度をした。
隣をチラリと見た。


「そんじゃ俺部活行くわ」


「んいってらー」


どうせ家に帰っても暇なだけな私は机で不貞寝する事にした。


「って、簡単に寝れるもんじゃないよなー……」


皆は帰ったり、部活したりと忙しいようだ。
校庭では部活をする声が聞こえたり、吹部の楽器の音が聞こえたりと……。


「お前、まだ帰って無かったのか」


「え、宮地なんか忘れたの」


「いや今日はミーティングだけだったんだ」


そう言って私の隣に宮地は座った。


「どうせ帰っても暇だからさ」


「そりゃ俺と一緒だな。ま俺はこれからバスケの練習してくけどさ」


はははと笑いながら語る宮地はなんかカッコよく見えた。


「宮地、バスケ好き?」


「あたりまえだろ、じゃなきゃここまで頑張れねえよ」


宮地は天才と言う訳ではなく、頑張って努力してレギュラーになった。
そういうところをずっと見て来たわけだし、いやだって三年間一緒なクラスだからさ。


「宮地好きな子でもいるの」


ぽろりと出た言葉に思わず口を塞いだけど、もう遅かった。
宮地は驚いた顔をしながら言った。


「まあそりゃいるだろ」


「そっか」


「そういうお前はいるのかよ」


「……まあ、いるよ」


宮地の好きな子、か。どうせ可愛いんだろうな。
そう思っていると、宮地の顔が目の前にあった。


「…なに」


「俺の好きな奴、お前だよ坂井」


「あ、っそう……は?」


「だからお前の好きな奴教えろ」


「いやいやいや」


え、思考がフリーズした。いやありえないでしょ、うんうんあり得ないです。


「三年間ずっと隣だったし…。
 三年間お前と話してると楽しかった」


「そう、なの?」


「まあな」


「……私も、好き。宮地のこと」


「……まじか」


そう言った宮地の顔は真っ赤で。私まで真っ赤になった。


「これからも、よろしくな」


「う、ん」


隣の彼は近いのに遠い
まあそれは私たちが両片思いしてたからですね
今はこうなってるし、良いですよね、毎日が凄く楽しいです





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