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□たとえ、見つからなくても貴方を探し出します。
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貴方に出会ったのは僕が一年生の春でした。
長い黒髪が風に吹かれて、そんな貴方に一目ぼれをしました。
最初は貴方の名前も知らなかった。
けど、バスケ部のマネージャーをやってることをしって、嬉しかった。


「優菜先輩」


「なに、黒子君」


「僕は、貴方が好きです」


「そう」


僕がバスケにくじけそうな時でも、ずっと支えてくれた貴方が好きでした。
凄く、凄く気持ちが高まって行くのを止められない僕がいました。

そして中学三年から高校一年になった貴方は誰にも学校を教えず、卒業していきました。
そして僕は、バスケが、嫌いになった。


「でも、こうして今バスケをしているのは貴方のおかげなんです。
 ……優菜先輩」


「それは、違う」


「違うんです、先輩のおかげ、ですよ。
 貴方がバスケをしている僕が好きだって言ってくれたおかげです」


「…そんなの、言った覚えがない」


「言ったんですよ。
 あと、電話で言いましたよね?」


「なにを」


「…貴方を絶対探し出すって」


「…うん」


僕は貴方を抱きしめました。
その華奢な身体で、どうして僕達を支えれるんだろうか。


「…もう一度言わせていただきます」


「なに」


「僕は、貴方が好きです、大好きです」


「…ちょっとさ、この一年間考えてみたの」


そう言って、先輩は語り出しました。


「ずっと黒子君と一緒だったバスケ生活から離れて、考えたかった。
 貴方が私を好きだって言った時は嬉しかった。だからちょっと考えたくて。

 私が黒子君を好きなのかどうか」


「…はい」


どうせ、ふられるんだろうとかそんなことは考えたくなかった。
今、この状態を感じていたかったんだ。


「そしたら、黒子君が好きなんだって自覚しちゃって。
 ……遅いよね、今更」


「いえ、すごく、嬉しいです」


僕は抱きしめる力を強めた。
先輩の長い黒髪が凄く、綺麗だった。


「……こんな私でも好きでいてくれますか?」


「! はい! もちろんです!」


「あはは、元気が良くてよろしい」


先輩の耳が真っ赤だ。その耳に唇を落とすと、先輩はんっ、と声を漏らした。


「絶対に、幸せにします」


「うん、幸せにしてください」


そう言って、僕等は顔を見合わせて笑いあった。



たとえ、見つからなくても貴方を探し出します。
貴方が好きな気持は、ずっと、ずっと変わりません。
大好きです、愛してる。





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