Dream.S

□あなたのしるし
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MS「俺がやる。」


短くそう呟いて、
私の手から泡だらけのスポンジを
するりと奪う。

麻衣「えっ、いいよ
せっかくの休みなんだから、
それに数も少ないし。」

MS「休みだから、
やりたいんだよ。」

麻衣「え??」

どういう意味かは分からないけど、
これはやらせるまで
しつこいだろうな、とは分かる。

だってそりゃ、
何年一緒にいると思ってる?


麻衣「じゃあ私はお皿拭くね。」

MS「ん。」


はい、と目の前に差し出される
きれいになったお皿。

それを私が拭いて、
水切りかごの中に仕舞う。


なんかこれ、新婚さんみたい。


そのまま思ったことを口にしたら、
ミョンスは手を動かしたまま

MS「あー…そうかも、そうだね。」

ひとり納得したみたいに何度も頷く。

MS「そっか、確かに…なるほど。」

麻衣「ぷ、何?どうしたの?」

MS「新婚さん、ね。」


…まぁ
ミョンスが変なこと言い出すのは
今に始まった事じゃないし、
こういう時はスルーが一番。

ふぅん、って適当に
相づちをうって、
お皿を丁寧に拭き上げる。


ぴかぴかのお皿は
私の顔が映るほどで、
それをぼんやり眺めていると
その後ろにミョンスの笑顔が見えた。


私も笑顔を返すと、
髪をぐしゃぐしゃと撫でられた。
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