Dream.S

□空色の臆病風
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HY「そ、だね。」

それだけ言って、
それしか言えなくて、
そっと麻衣から離れる。


ギャーギャー騒がしいリビング、

ソンジョンのノリノリの後ろ姿、

ソンギュヒョンも完全に
寝ちゃったみたいで、

俺だけ、何してんだ??


こんなとこでぼーっと
突っ立ってて、
こんなに近くに麻衣がいるのに
触れることもできなくて、



結局

寂しかったのも、

辛かったのも、

泣きそうになったのも、俺だ。




それを伝えられないのも、俺。

麻衣は
会いたかったよ、そう言ってくれた。


…でも俺は?



かっこつけて、

『男前なホヤ』でいたくて、

弱い俺を見せたくなくて、

何一つ、麻衣に伝えなかった。
伝えられなかった。


そしてまた今、
何も言えずにこうしてる。

こんなにも麻衣を求めてるのに
臆病な俺は
何も、何もできないままで。


俺………情けねぇ。




ぷちん、

心の隅で何かずっと引っかかってた
ものが外れる音がして、
気付いたときには
麻衣をきつく抱き締めていた。


麻衣「ホ、ウォン…?」


目をまん丸くさせて
驚く麻衣にお構いなしに
もっともっときつく、抱き締める。


麻衣「ちょっ…
苦しいってばっ!」

ぺしっと俺の腕を叩きながら
眉を下げて笑う。


HY「麻衣、大好き。」


告白したときなんかよりずっと
変に緊張して、
震える声を絞り出す。

この気持ちを
どう言っていいか分からなくて
何となく口をついてでた
平凡でありきたりな言葉。

それでも俺には精一杯で。



麻衣「…ホウォン?
どうしたの急に?」

麻衣の肩に
顎をのせるとこそばゆい、と笑った。

HY「ずっとずっと…
こうしたかったんだ…。」


さっきみたいに
柔らかい風が吹いて、

麻衣の髪が
俺の鼻先をかすめる。

くすぐったいけど
なんだか気持ちいい、そんな感覚。


麻衣「私も、
ずっとこうして欲しかったよ、
…な〜んて、えへへ。」

麻衣の頬が
ほんのりと桜色に染まっていって、
それを聞いた俺の頬も、
たぶん赤くなっているだろう。



HY「ごめんな、
何もできないヤツで。」

麻衣「ふふ、何言ってんの、
ホウォンは何でもできるじゃん、
それに…」

HY「それに?」


俺の腕にすっぽりと
はまるほど小さな麻衣が
俺の中では信じられないくらい
大きな大きな存在。


麻衣「そんな
ホウォンが好き、だし。」


そんな簡単なこと、
前から分かってたはずなのに
見失いかけた俺。




HY「…ばーか。
知ってるっつーのっ。」



でも今ならわかる、

俺は麻衣を一番愛しているし、

麻衣は俺を一番愛している。

臆病で強がりなこの俺を。








空色の臆病風






俺はそっと、

麻衣の髪にキスをした。

(いつかは絶対、
正面からキスできるように。)





MS(ねぇ、なんで俺だけ無視なの。)
HY(え、お前どこにいた?)
MS(カーテンの後ろ。)



end.



スルーされてたミョンス(笑)

ちゃんといましたよー。


今回のほややんは
彼女が好きすぎて触れられない、
っていう感じにしました。

初々しさと爽やかさが
表現できていればいいなぁと思います。

お粗末様でした!!


ばにら
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