この桜の木の下で

□第六章 告白二
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俺はこいつを…折原をどうしても嫌いになれなかった。


俺に黙ってた事に対しては、折原に腹が立った。

でも、親父が死んだことに対しては…自分に腹が立った。


そんな情報を掴む事が出来なかった自分に対して。


そして、その怒りを折原にぶつけた。
最低だな…俺…。


折原は悪くない。
だって、親父は折原を守って死んだ。
親父が命張って守った奴だ。
きっと、大切に思ってたからだろう。


でも、それを隠していた事はやっぱり腹が立つ。


俺を弄んで楽しみたかったのか?


そんな事信じたくない。


「信じてたのに…。」


否、信じてるから…。


だから、そうじゃないと言ってほしい。


「最初は…同情だった…。
けど、変わった。
…静雄さんに嫌われたくなかったから…。」


それを聞いた瞬間…
安心した。
信じた通りだったから。


弄ぼうなんて考えてなかったんだ。


「ー…けど、俺は静雄さんに嫌われた。
だから、殺してほしい。」


その瞬間、折原がさっきより、大粒の涙を流していた。


こいつ…本気なのか…?

…否…


「嘘ついてんじゃねぇ…。」


本気じゃない。
仮に本気だったとしても、俺はこいつを殺さないだろう。


何故なら…



「やっぱり…お前が好きだ。」



お前の事なんて、嫌いじゃねぇから。


「静雄…さん…何、言って…」


「だから、お前の事…嫌いになれねえ。」


「好きだ」
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