この桜の木の下で
□第五章 告白
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奈倉に世話になって丁度1ヶ月。
最後に会ったのは2週間前だっただろうか。
俺は、本気で親父を見つけ出すため奈倉の元に帰らず、2週間ずっとこの村を歩きまわっていた。
村の人々、一人残らず全員に親父の事について話を聞いた。
驚く事にこの村の人々全員、子供からお年寄りまで親父の事を知っていた。
だが、折原軍が敗れて以来、親父の姿を見なくなったそうだ。
「もう…この村にはいねぇのかな…それとも…」
この先は信じたくなかったし、考えたくもなかった。
でも、そんな事をどうしても考えてしまっている俺。
そんな時、無性に奈倉に会いたくなる。
それでまた、
『諦めないで!』
って言ってほしい。
あいつが慰めてくれたから、俺は諦めずに親父を捜す事ができた。
どうやら俺は、いつもいつも支えてくれた奈倉の事を…
「好きになったのか…?」
……きっとそうだ。
これからの旅、奈倉なしでは出来そうにない。
奈倉に頼んで、旅について来てもらおうか…。
そんな事を考え、苦笑しながら、俺は奈倉の元へと足を進めた。