この桜の木の下で
□第四章 恋慕
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あれから3週間がたった。
静雄さんは毎日村を歩き回り、津軽の事を聞き回っては、いい情報がなかったとがっかりしていた。
「もうすぐ…1ヶ月たつね…。」
静雄さんと夕飯を食べながら俺は呟いた。
「あぁ。なかなか親父の居場所がつかめねえ…。
もう…諦めた方がー…」
「駄目だよ静雄さん!!まだ2週間あるんだ!諦めたら駄目だ!」
静雄さんも結構驚いていたけど、一番驚いたのは、自分がとっさに吐いた言葉だった。
早く諦めて、帰ればいいと思っていたのに…。
何でだろ?
最近そんな事思わなくなった。
むしろ、もう帰らないでほしいと思ったり、津軽の事なんていいからもっと俺を見てほしいとか…
全然…俺らしくない事ばかり考えてる。
静雄さんが津軽の事ばかり考えてると思うと凄く…
胸が苦しいんだ。