この桜の木の下で

□第四章 恋慕
1ページ/3ページ

あれから3週間がたった。

静雄さんは毎日村を歩き回り、津軽の事を聞き回っては、いい情報がなかったとがっかりしていた。


「もうすぐ…1ヶ月たつね…。」


静雄さんと夕飯を食べながら俺は呟いた。


「あぁ。なかなか親父の居場所がつかめねえ…。
もう…諦めた方がー…」


「駄目だよ静雄さん!!まだ2週間あるんだ!諦めたら駄目だ!」


静雄さんも結構驚いていたけど、一番驚いたのは、自分がとっさに吐いた言葉だった。

早く諦めて、帰ればいいと思っていたのに…。

何でだろ?
最近そんな事思わなくなった。
むしろ、もう帰らないでほしいと思ったり、津軽の事なんていいからもっと俺を見てほしいとか…

全然…俺らしくない事ばかり考えてる。
静雄さんが津軽の事ばかり考えてると思うと凄く…



胸が苦しいんだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ