この桜の木の下で

□序章
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時は、戦国。
若くして将軍になった折原臨也は、敵軍に襲撃され自分の軍を失った。
本来なら死んでいても不思議ではない彼がこうして生きているのは、彼の護衛であり、身の回りの世話をしてくれていた平和島津軽のお陰であった。
他の者は敵軍に脅され臨也を裏切ったが、津軽だけは最期まで臨也を守り続けた。
その結果、津軽は死んでしまった。臨也の命と引き換えに死んでしまったのだ。
「津軽の馬鹿…◦」
静かな森の中、1本の桜の木の下で月明かりだけに照らされながら臨也が津軽につぶやいた。
当然、返事が返ってくるはずもなく臨也は津軽の頬に手を添えておでこをくっつけた。
ー津軽、俺津軽の事好きだったんだ。津軽は、気づいてた?
津軽は、臨也の父親的存在だったが想い人でもあった。
想いを伝える事をしなかったのは、自分が将軍であるから。
そして臨也の軍もまた、日本一強い軍として有名だったからだった。
そんなに強い軍が何故このようにボロボロにされたのかは、また後の話である。
臨也は津軽から離れ、津軽のもたれかかった桜の木に火を付けた。
「さよなら…津軽…。」
臨也は炎に包まれている綺麗な津軽の姿を見ながら一筋の涙を頬に流した。

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