短編2
□迷える子羊@
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「丸井君、誕生日おめでとう!」
「ありがと」
俺の部屋で午前0時を迎えた瞬間、ジロ君が満面の笑顔で祝ってくれた。
「プレゼントあげるから、目瞑ってて」
「うん」
言われた通りに目を閉じる。一体何をくれるのかな。
期待して両手を差し出し、手のひらを上に向けて待った。
ところが、俺の両手に乗せられたのはプレゼントの重みではなく、ジロ君の温かい手だった。
予想に反した感触に、どういうことかと目を開ける。
その途端、ジロ君の顔がみるみる目の前に迫ってきて、唇に柔らかいものが押しつけられた。
「んむっ!?」
そのままジロ君が俺に抱きつき、首筋に腕を回してきた。
ふわふわの黄色い髪が頬をくすぐる。
支えきれずに後ろへ倒れ、仰向けになった俺の上にジロ君が馬乗りになる。
「ねぇ、丸井君」
ジロ君は自分の制服のネクタイを緩めながら、俺を見下ろしてにっこり笑った。
「プレゼント、受け取って」
「………」
ネクタイをするりと首元から引き抜いたジロ君は、シャツのボタンを上からゆっくりと外していった。
なぜ夜中の0時に制服を着ているのかという疑問が頭を掠めたけど、露わになったジロ君の鎖骨に目を奪われてそれ以上考えられなくなった。
「俺と気持ちEことしよ?」
「ちょ、待っ……」
全てのボタンが外れ、シャツの前がはだける。
薄い胸板も、チラチラと除く乳首も、なんだかとても綺麗で、眩しくて。
抵抗しようとしても、なぜかうまく力が入らない。
ジロ君が俺の手を取り、自分の胸元へと導いた。
あ、嘘、ちょっと何これ、マジで?
何だよこの状況。
ジロ君、ジロ君てそんな、そんなキャラだったの?
すげー意外すぎるけど、でも……。
指先がもう少しでジロ君の肌に触れる、その時誰かが俺を呼ぶ声がした。
「……ブン太。おい、ブン太」
目を開けると、そこにいたのはふわふわの金髪ではなく浅黒いハゲ頭の持ち主だった。