短編*
□雨アメ降れフレ
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ポト……ポトリ
……サァ――
「あ……」
センバイが掌で雨粒を確認しているので、つられて空を見上げた。
「降ってきましたねー
……雨」
「傘ねーの?」
無謀なことを。
「もちろんねーですー。
幸か不幸か馬鹿にでかいカエルが雨を80%しのいでます」
「……あそ」
興味なさそうな声に軽く苛立つ。
それならば、
「しょうがないなぁ」
「何がだよ」
「貸してあげますよ、カエル」
「……は?」
「……永久に」
ほら、なんとなく手を出して……
「って」
受け取って。
「いるかよっ」
そして投げられた。
後頭部に向かって。
「ですよねー、ちっ」
不意に故意の舌打ち。
「でもセンパーイ。
可愛い後輩に被せてんだから、当然コレセンパイの好みですよねー」
「……は?」
いや、少し違う。
これはただ、ミーが前任の代わりになるための……
「前任さんの代わりなんて自分でやって下さいよ」
ミーが被るのなんか嫌だ。
いくら被り物が好きでも、これだけは嫌。
「大人しく被って下さいよ」
「イヤだねっ
俺王子だし」
「もうそれ飽きましたー」
言いながらどうにか被らせる。
「あれ?なんかムサい」
「はぁ?」
あ、キレた。
こっちはもうキレてんですから。
やるんなら徹底的に。
「前髪のせいですね。
あげちゃいましょ」
「あ、ま、待てっ
無理っ!!」
「拒否権剥奪」
「ざけんなカエル!!」
小学生かよ。
…………よし。
「完成、ですかねー」
「てんめー……殺す」
前髪から覗く瞳が爛々と輝いて――……
「けろー……」
ミーの背中にナイフが刺さる。
おんなじ反応で飽きます、ほんと。
いつものように抜いて、折って……
あ、手が届かない所に刺しやがった。