【夢小説】入隊しました...*【リボーン】
□薔薇と霞草
3ページ/3ページ
「ばか、堕王子!!
レイが死んだらどうするんですか!!」
少し涙目のフランにベルは慌てたように言う。
「だ……だから、知らなかったんだっつの。
息してるし、死なねぇよ……」
「う゛ぉい!!
八重島は大切な戦力だぁ、内で傷付けんじゃないぞぉぉ!!」
あ…れ??
まただ……また、みんなが私を見上げて……
「ん……」
ここは……医務室?
あ、スクアーロ帰ってきたんだ。
ベルに……フランも居る。
「レイ!
あーもー、隊長がデカイ声出すから起きちゃったじゃん」
ベルの嘆息を無視して、スクアーロは寝ている私に近づいた。
「……何があったぁ?」
「分かんな……い、けど!!
だ、大丈夫ですから……」
「もー姫の大丈夫は信用しないぜ??」
「うー……」
「ベルが霞草と薔薇を見せたら倒れた。
一体どうなってやがんだ?」
「うー……」
ベルとスクアーロに見られて、居鋤(いす)くんだが、おぼろげに話す事とした。
「私、単に血がダメなのかと思ってたけど……そうじゃないの。
パパ……父親が死んだのは、真っ白な雪の日だった。
父の傷はかなり深くて。それで死んじゃったんだけど……
雪の上に鮮明に残った血が、何より印象的で。
あの花束は……思い出しちゃったんです。
私は白地に赤の血の色がトラウマなんだと思う……」
沈黙する三人を見て、困ったように笑って見せた。
「ご、ごめんなさい……暗い話しちゃって」
「いや……」
スクアーロが唸るように言った。
「ならただの流血は平気なんだなぁ?」
「多分……そんな気がする」
「なら戦力の足しにでもなるぜぇ。
分かっただけで収穫だぁ」
「……ありがと」
スクアーロが気を遣ってくれてる事は感じた。
「礼を言われる筋合いはねぇ。
体調が回復したら試験だ、いいなぁ!!」
「了解です」
そのままスクアーロは居なくなってしまった。
「じゃ、レイ姫♪
俺んとこ戻ろうぜ?」
「何言ってるんですかベルセンパーイ」
私が答えるより先に、今まで黙っていたフランが口を開いた。
「苦手なもの見せといてひどすぎますよー。
レイはミーと部屋に帰るんですー」
「う……っカエル!!
だからさ、知らなかったんだっつの。
許してくんねぇ?レイ姫♪」
「え……?あ、うん。
許すのは良いけど……自分の部屋戻っていい……?」
フランがベルに意味ありげに目配せした。
ち、とベルは舌打ちしてフランに聞こえないよう、私の耳元で囁いた。
「レイならいつでも待ってっから。
ミルクも用意すっから、ちゃんと来いよ?」
「センパーイ、ミーのレイに何言ってるんですか?
早く出てって下さいー」
「おめぇのじゃねぇよ。
じゃな、レイ♪」
「うん、ありがと」
微笑んでベルが出るのを見送ると、ぐいと顔を両手で左に曲げられた。
「な、何するのフラン!?」
びっくりして立っているフランを見上げると、むう、と顔をむくれさせていた。
「あの堕王子に見せた笑顔をミーも見たかったんですー……」
「な、に言って……」
「むしろレイそのものをミーのものにしたいって感じがー……」
「それなら既にそうじゃない?」
「……え?」
「だって、フランは私の先輩だもん。
私はフランのものでしょ?」
「人から天然って言われますー?」
「いや?あんまり言われないけど」
素直にくびを傾げると、フランは特大の爆弾を投げた。
「……堕天使」
「だ、誰が堕天使だぁぁっ」
「きゃー」
それはそれは抑揚の全く感じられない「きゃー」でした。
_____