真選組大捕物語

□目には目を、変態には正義の鉄槌を
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巷を騒がしているコソ泥をどう捕まえるか、隊長格を集めて討論しようとした矢先――
ふと俺の隣が空席な事に気付いた。本来そこに座るべき奴の姿はここにはない



「オイ、飛鳥はどうした」

「まだ寝てるんじゃねーですか?」

「ったく仕方ねーな…総悟、起こしてこい」

「さっき山崎に行かせやした」

「早いな」

「当然で、」

「ぎゃあああああああ!!」

「! 今のは…」



山崎の声、だよな? 飛鳥を起こしに行ったみてーだが…アイツが叫び声をあげるたァ…侵入者か?
だとしたらこうしちゃいられねーな



「トシ! 総悟!」

「あぁ」

「準備OKでさァ」

「行くぞ!」



俺は他の隊長に指示を与え、近藤さんの後に続いた
道中、てっきり何か仕掛けてあると思ったが案外すんなりと目的地である飛鳥の部屋の前に辿り着くことができた。やけに静まり返っていて不気味にすら感じる



「山崎の姿がありやせんね」

「まさか飛鳥ちゃんと一緒に中で捕らえられてるんじゃ…!」

「いや…その可能性は少な、」

「今助けるからね飛鳥ちゃん!」

「あっおい! 近藤さん!」



なんの躊躇いもなく近藤さんは襖に手をかけた。その刹那、



「死ねェェェェェェ!!!」

「のわあああああああ!!」



ガガガガガ! と、音を立てて散弾銃が乱射された――って…ちょっと待て



「オイコラ飛鳥! テメー何屯所内で銃ぶっ放してんだ!!」

「あ゙〜? ンだよテメーらか」

「近藤さーん生きてやすかー?」

「…な、なんとか……いきなり何するの飛鳥ちゃんンンンン!!」

「はァ? テメーが紛らわしい行動してっからこうなったんだろーが」

「紛らわしいって…勲何かしたァァァ!?」

「ったく、今になってのこのこ現れやがってよォこれだからここのヤロー共は使えねェんだよクソが」

「飛鳥のヤツ相当荒れてますぜ、土方さん」



確かに……コイツがここまでキレるたァ相当なモンだ。ましてや飛鳥は銃火器類を扱うからな…さっきみたいにぶっ放されたら堪ったもんじゃねェ。やっかいだな…



「まぁ落ち着け飛鳥、何があった」

「何が、じゃねーよゴラ。察しろよカスが。一度ならず二度、三度としてやられたんだよあンのクソヤローによォ!!!」



飛鳥は「思い出しただけで腹立つぜクソがァァァァ!!!!!」と発狂しながら、近くに転がっていた物を投げ飛ばした。…って、今の山崎じゃなかったか?
…うん。微かに聞こえた「痛ァ!!」って声は奴のそれだ。…大丈夫なのかアイツ…

さーて、とりあえず飛鳥から詳しく聞くとするか。…また暴れたりしねーといいが……






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