Without you

□第1夜 the world everything started (1)願う人
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そして一人一人に向き合った。






「まずは黒鋼、あなたの対価はその刀よ。」


「なっ、銀竜は渡さねぇぞっ!」


黒鋼は叫ぶが、直ぐに侑子に詰め寄られた。



「そう。それじゃああなたはそんなコスプレみたいな格好で歩いて、直ぐに警察に捕まるわね。それにこの世界で次元を渡れるのは私だけだし。」


「は?コスプレ?警察?」


彼は知らない言葉が出てきて理解できていないが、元の世界に戻せるのは侑子だけだということはわかったようだった。


「ちくしょぅ!覚えてろ!必ず取り返すからな!」

銀竜が宙に浮く。






「次はあなたよ、ファイ。
あなたの対価は刺青ね。」

その瞬間、ファイの顔が曇った。



「この杖じゃだめですかー」


「だめよ。言ったでしょ。対価はあなた達の最も大切なもの。それでもぎりぎりなのだから。」


侑子の言葉にファイは諦めたように笑った。

「わかりましたー。」

青い刺青も宙に浮いた。





侑子はゆったりと小狼に視線を移す。



「あなたはどうする?」


「行きます。」


小狼は直ぐに答えた。



「まだ、何が対価かわからないのに?」


「はい。」


彼の瞳には一点の曇りも無かった。



「私ができるのはあなた達を異世界に送ることだけ。そこから先は自力で羽を探さなきゃいけないのよ?」


「はい。」


侑子は優しく笑った。




「良い覚悟だわ。」





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