Without you
□第2夜 the world loved by gods (2) 影を司る者
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爽やかに晴れ渡る秋空のもとに、小狼たちはいた。
「つうわけで、部屋ん中じっとしとってもしゃあない。サクラちゃんの記憶の羽を早う探すためにも、この辺捜索してみ。」
そう言う空汰はこれから授業があるのかスーツ。
小狼達も皆、空汰から借りたこの国の服を着ている。
ちなみに遥の服装は、黒のタートルネックに黒いダメージの入ったジーンズだ。
「歩いてみれば昨日言ってた、巧断がどんなもんかわかるはずやで。」
「はい。」
「で、この白いのも連れて行くのかよ。」
「白いのじゃないーー!モーコーナーーーー!」
遥の肩におとなしく乗っていたモコナは、黒鋼のもとへジャンプで乗り移る。
「モコナ連れていかないと、羽の場所がわかんないでしょーーー。
黒いのーーー。」
「黒鋼だ!!」
ファイの言葉に空汰も遥も同意した。
「そや。ま、この世界ではありがちな光景やから、心配せんでえぇよ。」
「黒っぺばか?」
バカと言う言葉に怒り狂った黒鋼は、遥のことを追いかける。
もちろん遥は軽々と逃げるが。
そんな二人をオロオロと小狼は見ている。
「よし!んじゃ、これにお昼ご飯代入ってるさかい、4人で仲よー食べや。」
言うと空汰は蛙のがま口を小狼渡した。
「なんでそいつに渡すんだ?」
「一番しっかりしてそうだからな。」
「どういう意味だ!」
空汰は爽やか満開の笑顔で答え、嵐もコクコクと頷いている。
「黒りん細かい。」
「そうだ、そうだーーー。」
「黒鋼だ!!」
再び追いかけっこを始めた大人三人に、小狼はまたもやオロオロとする。
「小狼も苦労するな…」
「いや…そんなことは。」
空汰に言われ、嵐に無言でポンっと肩を叩かれ、途方に暮れる小狼だった。
ーーーーーーーーーーー…
ーーーーーザワザワ
遥達は賑やかな街の中にいた。前を小狼とファイとファイに乗ったモコナ、後ろを黒鋼と遥が歩いている。
「賑やかですね。」
「人いっぱーーい。」
前の二人と一匹はあたりをキョロキョロと見渡していた。
「でっかい建物と、小さい建物が混在してるんだーーー。
小狼君はこういうの見たことあるの?」
「いえ。ないです。」
ファイはくるっと後ろを向く。
「遥君はー?」
「昔、見た。」
「黒たんはーー?」
「ねぇよ!んでもって、妙な呼び方すんな!!」
再び怒っている黒鋼だが、遥は後ろ向きに歩くファイに器用だなーなどと思っていた。
「くすくす。真っ白ーー。」
「まんまるー。」
「お前、笑われてんぞ。」
道ゆく人がモコナを見て笑っている。すかさず黒鋼が指摘した。しかし、モコナはどこを勘違いしたのか頬を明かして照れている。
「モコナもてもてーー。」
「どこがだよ!」
黒鋼のツッコミが炸裂した。
そんなこんなで、ワイワイ騒ぎながら小狼達は街を進んで行く。
しかし遥のみ会話に加わらなかった。
次元の歪みがないか探っているのだ。
ーーー今のところ歪みはないな。
( 我が守っていたのだ、当たり前であろう。)
響影の言葉に遥はクスリと笑った。
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