Without you

□第2夜 the world loved by gods (1) 古き友との再会
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穏やかな風で頬を撫でられるような感触に、俺は瞳を開いた。



むせかえるような春の香り。

月明かりの下、淡く光る花々に抱かれているかのような心地良さ。




そして何より俺の心は驚くほど穏やかだった。





ーーーあぁ、そうか





唐突に気づかされた。






ーーーこれは、"夢" か






今の俺が心穏やかでいられるはずがないじゃないか。



まるでお前が隣にいるような。


胸の奥がズキリと痛んだ。









『遥っ』










思考を遮った声。

あり得ない。



『洋___』




見下ろすと俺のことを見上げるお前がいた。









これは夢で、

現実は全く違うはずで、

いつかの俺自身の記憶であって、

このお前は本当であって本当でなくて、








わかってる





わかってる










それでもこの記憶の日の俺にとっては本当のお前であるはずで、





例え本当でないとしても、


目の前にお前がいて、

ちゃんと呼吸をしているということに、

































熱い何かがこみ上げてきそうだ。



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