短文

□僕のともだち
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和馬くんは5歳の男の子。

お父さんとお母さんはお仕事で忙しいので今日も独りぼっちでおるすばんです。

けれども和馬くんはとても良い子でしたのでキチンとお夕飯を暖めて、お皿を洗い、一人でお風呂に入ることもできました。

そんな和馬くんが寝ようと布団に入ろうとした時でした。
「かずまくん、かずまくん」
おや、どこからかふしぎな声が聞こえてきます。どうやら押し入れのすきまからその声は出ているようでした。
「こっちこっち」
押し入れは真ん中で区切られていて、どうやら声の主は上の段にいるようです。
よいしょっとそちらへ登った和馬くんは、ウサギに羽根が生えたような変な生き物に出会いました。
「こんばんは かずまくん」
「君はなに? 電池で動く人形?」
電池を探そうと手を伸ばす和馬くんを必死におさえ、羽根ウサギは言いました。
「私は電池で動く人形ではありません! かずまくん、どうか私たちの国を救ってください!」
「救う?」
「はい。とてもとても強くて悪い怪物が、月ハネ王国を襲っているのです。勇者の力が必要なのです!」
『困っている物を助けなさい』と、いつも言われてきた和馬くんは行くことに決めました。
あまり深くは考えてはいませんでした。
「ありがとう かずまくん。よろしくね」
そういうと羽根ウサギのミミは、押し入れの扉をピッタリと閉めてしまいました。
「何も見えないけど?」
「安心して、ほら!」
しばらくすると、ぼや〜っと穴の中に下る階段が現れました。
「さぁ、行きましょう」
和馬くんとミミは、長い階段をひたすら降りて行きました・・・
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