短文

□旧・外道戦記
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くもり、ときどき嵐
「うん、魔王退治びよりね!」
「お姉ちゃ〜ん」
後ろから追っかけてくるコイツは魔術師のロミ。愛すべきワタシの妹
「どこ行くつもり…?」
「魔王ブッ倒しに」
「どうして平凡な農家の娘が魔王退治になんかいかなきゃいけないですか!?」
少し口うるさいのが玉に傷ね
「そんなの決まってるじゃない。金よ」
「直球なのですね…」
「カボチャに埋もれて一生を過ごすなんてやーよ」
どうせなら金に埋もれて暮らしたいわ
国王が魔王討伐してくれってんだからこのロゼ様がやってあげようじゃないの
「で…でもぉ〜」
「まだなんか有るの?」
「私達 Lv1ですし…」

【格闘家 Lv1】
【魔術師 Lv1】

「ふむ、たしかにそれはちと情けないわね」
「でしょう? だから―」
その時ワタシは素晴らしい事を思い付いてしまった
「! よし、泳ぐわよロミ」
「なんでぇっ!?」
ワタシ達がいるこのウー大陸。ちょうどCを裏返したようなつくりになってる
「ウチの実家が左下(南西)の位置にあって魔王の城は海を挟んだ左上(北西)の位置にあるでしょ?」
「うん…家からうっすらだけど対岸先にお城が見えるもんね」
本来ならグルッと回りこんで行くべきである、が
「ショートカットして行くわよ!」
「えぇぇえぇっ!?」
驚くロミを引きずりながらワタシはジャバジャバと海に入っていく
「ちょ…なおさらダメー! 向こうの土地はザコ敵でも強いんだよっ 殺られちゃう!」
「だから行くのよ ほら泳ぎなさいっ」
「うわぁ〜ん お父さんお母さーん」


30分ほど泳いでワタシたちは『ラスボス直前のフィールド』へとたどり着いた
「やっぱ眼と鼻の先だわね、ん? どしたロミ」
「も…もうダメ…野生の敵とエンカウントした時点でジ・エンド…」
なんてガタガタ震えるロミの側でワタシは頭をかいた
「まぁなんとかなるって」
「なるワケないですバカ姉ぇー!!」
 グルルル…
するとその声に引き付けられたのか、モンスターが数匹集まり始めてきた
「ひぃ――!!」
「ゲッ 早ー…まだ探してもないんだけどな…」
見たことも無いような強そうなヤツ…ドラゴンじゃん。あちゃぁ ヤバいかも
 ガァッ
「うわぁー! 先立つ不幸をお許しくださいっ」

 ザンッ

「!?」
ロミが絶叫するのとほぼ同時に、ブシドーなオッさんが敵とワタシ達の間に割り込んできた
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